大葉子・車前草(読み)おおばこ

精選版 日本国語大辞典 「大葉子・車前草」の意味・読み・例文・類語

おおば‐こ おほば‥【大葉子・車前草】

[1]
オオバコ科の多年草。各地の山野路傍に普通にみられる。葉は根元から群がって生え、楕円形ないし卵形で、長い柄があり、長さ三~一五センチメートルになる。葉身には、数条の縦走した脈が目立つ。夏に、葉の間から、高さ一〇~三〇センチメートルほどの花茎を数本のばし、上部に白色の小花を穂状に密生する。実は、紡錘形で、横に裂け、中には数個の黒褐色の種子が入っている。若葉食用、葉と種子は健胃剤、利尿剤、咳止めなどに用いる。かえるば。おんばく。おんばこ。《季・夏‐秋》 〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
② 紋所の名。「おおぼうし(大帽子)」の花と葉とにかたどったもの。「抱車前(だきおおばこ)」と「車前龍胆(おおばこりんどう)」との二種がある。
[補注]「車前」という字の由来については、「名語記」に「良薬たるによりて、昔の耆婆、くるまの前板にうへて出行のほども、ひまなく、つみきりて食せりける因縁にて」とある。
[2] (大葉子) 大和朝廷武将調吉士伊企儺(つきのきしいきな)の妻。「日本書紀」によれば、欽明天皇二三年(五六二)、新羅征伐におもむいた夫に従い、ともに捕えられ、歌を詠んで自殺したという。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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