大阪都構想(読み)オオサカトコウソウ

デジタル大辞泉 「大阪都構想」の意味・読み・例文・類語

おおさかと‐こうそう〔おほさかトコウサウ〕【大阪都構想】

大阪府・大阪市などの再編構想。平成22年(2010)、大阪府知事だった橋下徹大阪維新の会が発表。大阪市24区・堺市7区・周辺9市を、東京都特別区を参考とした20区に再編し、政令指定都市と府との二重行政を廃するとした。後に構想は縮小され、平成27年(2015)大阪市のみを廃止するを5区再編案が、令和2年(2020)4区案が住民投票で否決された。
[補説]東京都と特別区の関係に倣うという意味での称であり、大阪「府」を「都」とすること含む構想ではない。

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共同通信ニュース用語解説 「大阪都構想」の解説

大阪都構想

政令指定都市の大阪市を廃止して東京23区と同様の特別区を設置し、大阪府とともに行政機能を再編する制度改革。橋下徹元大阪市長が初代代表を務めた大阪維新の会の看板政策で、2015年の住民投票では5特別区への再編案が約1万票の僅差で否決された。今回の住民投票は25年1月1日に4特別区に再編する案が対象。成長戦略やインフラ整備などは府に一元化し、特別区は保育や教育、生活保護といった基礎自治体としての業務に専念することが明記された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大阪都構想」の意味・わかりやすい解説

大阪都構想
おおさかとこうそう

大阪市と大阪府の二重行政を解消する地方自治体の行政改革構想。政令指定都市の大阪市を廃止し、公選区長区議会をもつ複数の特別区を設置し、インフラ整備、産業政策、観光振興といった広域行政機能は大阪府に集約し、福祉、教育、子育て支援などの住民に身近なサービスは特別区が担う構想である。第二次世界大戦中の1943年(昭和18)、東条英機内閣が東京市を廃止して東京府を東京都としたのをモデルに、大阪府知事や大阪市長を務めた橋下徹(はしもととおる)(1969― )が2010年(平成22)に提唱。地域政党・大阪維新の会の看板政策となった。東京以外にも特別区を設置できる大都市地域特別区設置法(平成24年法律第80号)に基づき、2015年5月と2020年(令和2)11月に、構想の是非を問う住民投票を二度実施したが、いずれも僅差(きんさ)で反対派が上回った。これを受け、一度目は橋下徹が政界を引退し、二度目には大阪市長の松井一郎(1964― )も任期満了後の政界引退を表明。大阪府知事の吉村洋文(よしむらひろふみ)(1975― )は民意を再度問うことはないと表明し、大阪都構想は実現しなかった。

 高度成長期にできた政令指定都市(2020年末時点で20)制度は1956年(昭和31)の発足後60年以上が経過し、東京の一極集中、人口減・少子高齢化、地方経済の衰退などが進む日本の地方行政組織として、現状にそぐわなくなっていると指摘されてきた。大阪都構想は道府県と政令指定都市の二重行政の解消・効率化だけでなく、成長を牽引(けんいん)する大都市づくりの司令塔となり、住民サービスを充実させるねらいがあった。一方で、庁舎やシステム整備など多額のコストが必要になるとの批判のほか、道州制など、より広域の行政単位の実現を求める声もでていた。大阪都構想は現行の地方自治制度をめぐる議論に一石を投じたものの、賛成派と反対派の政争の具に終始した感は否めず、21世紀の新たな地方行政組織の姿を提示するには至らなかった。

[矢野 武 2021年3月22日]

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知恵蔵 「大阪都構想」の解説

大阪都構想

大阪府と政令指定都市の2市(大阪市・堺市)を解体し、10~12の特別自治区からなる大阪都を新設するという構想。府と市の二重行政の無駄を省き、産業基盤の整備と経済的競争力の強化によって、地盤沈下が著しい大阪の再生を図るというのが狙い。2010年、当時の大阪府知事の橋下徹(はしもととおる)が提唱した。その橋下が代表を務め、大阪府議会で過半数の議席を持つ政治団体「大阪維新の会」が、15年4月の実現を目指している。
11年11月27日に行われた府知事・大阪市長のダブル選挙では、同会の松井一郎が府知事に当選。任期満了を待たずに府知事を辞職し、転身を図った橋下が大阪市市長に当選した。これによって、大阪都構想推進協議会の設置が確実なものとなった。
「大阪維新の会」は、新都が「首都機能の一部」を担うことを目指しているが、新都政の基本的な枠組みも東京都をモデルにしている。特別区には公選の区長・区議をおき、住民自治を促進させる一方、府と市が重複していた事業や広域行政は新都の首長に全権移譲される。これにより、住民に密着した細かいサービスは各行政区が担い、市内の再開発、道路・港湾整備等の産業インフラや災害対策などの広域行政は新都に一本化される。財政も都が主導権を持つ。都が大阪市・堺市の資産を受け継ぎ、税収も両市の住民から吸い上げ、30万人規模からなる各区に配分する。これまで府と市が競合していた水道、ごみ処理施設、大学や文化施設なども統廃合し、財政の安定化を図る。
しかし、都への「格上げ」には、地方自治法を始めとする法律の改正が必要で、国政を担う政党との連携も求められる。また、中央集権化(都への権力集中)は地方自治の流れに逆行するという声もあり、実現までのハードルは決して少なくない。最大の課題は、行政区の区割りと財政の分配と言われるが、その具体像は不透明なままで、大阪市長選で橋下に敗れた平松邦夫も、選挙戦中に「行き先不明のミステリーバスに片道切符で乗せられるのが大阪都構想」と批判していた。

(大迫秀樹  フリー編集者 / 2011年)

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知恵蔵mini 「大阪都構想」の解説

大阪都構想

大阪市の24区を再編して五つの特別区(東区・北区・湾岸区・中央区・南区)を設置し、大阪府と大阪市の広域行政を統合する構想のこと。都知事1人体制とし、二重行政をなくして税金の無駄遣いを解消することなどを目的としている。橋下徹大阪府知事(当時)が代表を務めていた大阪維新の会が2010年に提唱し、12年に成立した大都市地域特別区設置法に基づき15年3月に都構想案(特別区設置協定書)が大阪府・大阪市の両議会で承認された。これに対する賛否を問う住民投票が15年5月17日に行われ(当日有権者数210万4076人、投票率66.83%)、1万741票の僅差で反対多数となり、大阪都構想は廃案となった。

(2015-5-19)

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