天手力雄神(読み)あめのたぢからおのかみ

朝日日本歴史人物事典 「天手力雄神」の解説

天手力雄神

日本神話に登場する神。天にいます,強い手の力を有する神の意。『古事記』に天手力男神,手力男神とある。素戔嗚尊のひどい乱暴に怒って石窟にこもってしまった天照大神(アマテラスオオミカミ)が,石窟の外が騒々しいのを不思議に思って戸を開けたとき,戸の脇に隠れていてアマテラスを石窟から引っぱり出したとも,単にその石窟の戸を開けたとも伝えられる。また『古事記』では,天孫である邇邇芸命が地上へ降臨する際にこれに随伴した諸神中にこの神の名を記し,佐那那県にいます神だと伝える。『日本書紀』では,この神が天孫降臨の段に登場しないだけでなく,石窟の段にこの神が登場しない伝承もあるから,この神は,知力の神である思兼神ペアになる神として比較的新しく神話の中に取り入れられた神だろう。

(佐佐木隆)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

今日のキーワード

発見学習

発見という行為の習得を目指す学習。または,発見という行為を通じて学習内容を習得することを目指す学習。発見学習への着想は多くの教育理論に認められるが,一般には,ジェローム・S.ブルーナーが『教育の過程』...

発見学習の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android