天皇の行為(読み)てんのうのこうい

共同通信ニュース用語解説 「天皇の行為」の解説

天皇の行為

政府は/(1)/国事行為/(2)/公的行為/(3)/その他の行為―に分類している。これらから純粋に私的な行為を除いたものが「公務」とされる。憲法が規定しているのは、首相任命国会召集衆院解散など内閣助言承認に基づいて行う国事行為だけ。広く知られるのは、象徴としての地位に基づく公的行為で、被災地など国内各地の視察や外国訪問、全国植樹祭への出席などがある。新嘗祭にいなめさいなどの宮中祭祀さいしは「純粋に私的なもの」として、その他の行為に位置付けられる。

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知恵蔵 「天皇の行為」の解説

天皇の行為

天皇の行為について、政府は、(1)国事行為、(2)公的行為、(3)その他の行為、の3つがあるとしている(三分法)。日本国憲法は戦前の大日本帝国憲法の統治権を否定し、「憲法の定める国事に関する行為のみを行い、国政に関する権能を有しない」と定める。また国事行為も内閣の助言と承認を必要としている。憲法第7条の定める国事行為は、(1)憲法改正、法律、政令、条約の公布、(2)国会の召集、(3)衆議院の解散、(4)国会議員の総選挙の公示、(5)国務大臣及び法律の定めるその他の官吏任免全権委任状及び大使、公使の信任状の認証、(6)大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権の認証、(7)栄典の授与、(8)批准書や法律の定めるその他の外交文書の認証、(9)外国大公使の接受、(10)儀式を行うこと。また第6条で、国会の指名により内閣総理大臣、内閣の指名により最高裁判所長官を任命する。しかし、天皇の活動にはこれ以外にも、国会開会式、国体や植樹祭、全国戦没者追悼式への出席や外国親善訪問など多くの公的行為や、美術展やコンサート鑑賞、宮中祭祀などの私的行為がある。公私の区別がつけにくいものも多く、「象徴」の理念や憲法の政教分離原則との兼ね合いで論議が絶えない。1990年の大嘗祭(だいじょうさい)の性格づけを巡る論議の過程で内閣法制局は、「私的行為」を「その他の行為」と呼び直した。私的行為にも公的色彩のあるものも多いとの理由だったが、それまでの「神道儀式である大嘗祭に公金の支出は難しい」との立場を軌道修正し、「一世一度の公的色彩のある皇室行事」として国費である宮廷費を支出する道を開いた。

(岩井克己 朝日新聞記者 / 2007年)

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