天降る(読み)アモル

デジタル大辞泉 「天降る」の意味・読み・例文・類語

あ‐も・る【降る】

[動ラ上二]《「あまおる」の音変化》
天から下界へ降りる。
「―・りましけむ五百万いほよろづ千万神ちよろづがみの」〈・三二二七〉
行幸する。
和射見わざみが原の行宮かりみやに―・りいまして」〈・一九九〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「天降る」の意味・読み・例文・類語

あも・る【天降】

  1. 〘 自動詞 ラ行上二段活用 〙 ( 「天(あま)(お)る」の変化したもの )
  2. 天上から地上に降下する。あまくだる。
    1. [初出の実例]「天雲に 磐船浮かべ 艫(とも)に舳(へ)に 真かいしじ貫き いこぎつつ 国見しせして 安母里(アモリ)まし」(出典万葉集(8C後)一九・四二五四)
  3. 天皇がおでましになる。行幸する。
    1. [初出の実例]「高麗剣(こまつるぎ) 和蹔 行宮(かりみや)に 安母理(アモリ)いまして」(出典:万葉集(8C後)二・一九九)

天降るの語誌

( 1 )用例が連用形に限られているので、活用の種類を四段と説くものもあるが、「天(あま)+降(お)る」の変化と見られ、「降る」の活用から上二段とする。
( 2 )類義語「あまくだる」があるが、クダルは上から下へ一気に直線的に移動する意であるのに対し、オルは注意を払いながら下がる意であるといわれる。
( 3 )「あもる」は用例が上代に限られているが、沖縄方言に、天女が天から下ることを意味するアマウリ・アマリ・アモリなどの語が残っている。雷が落ちる意のアマルも関連があるか。


あま‐くだ・る【天降】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
  2. 天上界から地上界に降下する。
    1. [初出の実例]「葦原の 瑞穂の国を 安麻久太利(アマクダリ) 知らしめしける 天皇(すめろき)の 神の命(みこと)の」(出典:万葉集(8C後)一八・四〇九四)
    2. 「天祖の降跡(アマクダリ)まして自り以逮(このかた)」(出典:倭姫命世記(1270‐85頃))
  3. 天降り人事によって就任する。
    1. [初出の実例]「濡手で粟の御用商人か、役人の古手の天下(アマクダ)ったのか」(出典:社会百面相(1902)〈内田魯庵〉青年実業家)

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