太平洋ごみベルト(読み)たいへいようごみベルト(英語表記)Great Pacific Garbage Patch

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「太平洋ごみベルト」の意味・わかりやすい解説

太平洋ごみベルト
たいへいようごみベルト
Great Pacific Garbage Patch

アメリカ合衆国のハワイ州カリフォルニア州の間の太平洋上にある,プラスチックごみが特に集積している一帯海域の範囲はテキサス州アラスカ州の面積に匹敵するとされるが,その大きさや深さは絶えず変化している。ごみベルト中のプラスチックの約 80%が陸上からのものという報告もある。アメリカ西岸や日本東岸から海に流れ出たごみは,カリフォルニア海流北赤道海流北太平洋海流黒潮などの海流によって北太平洋の亜熱帯還流まで運ばれる。プラスチックなどの固形物はこの時計回りにめぐる還流に引き込まれ,閉じ込められる。漂流物が海岸から還流まで達するには何年もかかり,運ばれる間に,光分解によりプラスチックがほぼ目視できない微小な破片マイクロプラスチック)にまで分解される。船舶や沖合石油掘削装置に由来するやや大きな物体もあるが,太平洋ごみベルトは「マイクロプラスチックのスープ」と呼ぶほうが実態に近いと考えられる。オランダ非営利団体「オーシャン・クリーンアップ」は 2015年と 2016年に,ごみベルト内の漂流物の密度が予想以上に高いことと,プラスチックが汚染物質を吸収し,海洋生物に有害であることを報告した。同様の海域はほかにも大西洋インド洋などにいくつも存在するが,太平洋ごみベルトが最もよく知られている。(→プラスチック汚染

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