奇稲田姫(読み)クシナダヒメ

精選版 日本国語大辞典 「奇稲田姫」の意味・読み・例文・類語

くしなだ‐ひめ【奇稲田姫・櫛名田比売】

  1. 記紀に見える神。出雲国つ神脚摩乳(あしなずち)手摩乳(てなずち)の娘。八岐大蛇(やまたのおろち)に呑(の)まれようとするのを、素戔嗚尊(すさのおのみこと)に救われ、その妻となる。稲田姫。くしいなだひめ。

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改訂新版 世界大百科事典 「奇稲田姫」の意味・わかりやすい解説

奇稲田姫 (くしなだひめ)

記紀の八岐大蛇(やまたのおろち)退治神話に出てくる乙女脚摩乳(あしなずち)・手摩乳(てなずち)の娘でその名は稲田の豊饒をあらわしている。年ごとにやってきて娘(=稲田)を食う大蛇の犠牲となろうとしたところを,素戔嗚(すさのお)尊によって櫛に変身させられて救われ,のち出雲の須賀の宮を定めたスサノオの妻となる。《出雲国風土記》に見える久志伊奈太美等与麻奴良比売(くしいなだみとよまぬらひめ)も同じく稲田の化身と考えられる。
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百科事典マイペディア 「奇稲田姫」の意味・わかりやすい解説

奇稲田姫【くしなだひめ】

〈くしいなだひめ〉とも。国津神の脚摩乳(あしなづち)・手摩乳(てなづち)の娘。出雲簸川(ひのかわ)の上流で姫を取ろうとした八岐大蛇(やまたのおろち)を切った素戔嗚(すさのお)尊に嫁し,大国主神を産む。ヘビ(地と水)と処女(犠牲)の結合稲作儀礼を象徴するものか。
→関連項目八岐大蛇

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「奇稲田姫」の解説

奇稲田姫 くしいなだひめ

記・紀にみえる神。
出雲(いずも)(島根県)簸(ひ)の川にすむ脚摩乳(あしなずち)・手摩乳(てなずち)の8番目の娘。八岐大蛇(やまたのおろち)にのみこまれようとするところを,素戔嗚尊(すさのおのみこと)にたすけられて結婚する。真髪触(まかみふる)奇稲田姫とも。6世の孫に大己貴命(おおなむちのみこと)(大国主神)がある。「古事記」では櫛名田比売(くしなだひめ)。

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世界大百科事典(旧版)内の奇稲田姫の言及

【脚摩乳・手摩乳】より

大山祇神(おおやまつみのかみ)の子とされる。大蛇の犠牲に供されようとした奇稲田姫(くしなだひめ)の父母。娘の手足をなでいつくしむ意味の命名であろう。…

【素戔嗚尊】より

…スサノオは八つの酒器に酒を準備させ,大蛇を酔わせたうえ,その体を切り散らしたところ,肥河は血に変じて流れたという。そして大蛇の尾の中から草薙剣(くさなぎのつるぎ)を得たスサノオは出雲の須賀(すが)に宮を造り,みずからの知略と勇武で救い出した娘,奇稲田姫(くしなだひめ)と結婚して葦原中国の基を開いた。つづいて登場する国作りの神,大己貴(おおなむち)神=大国主(おおくにぬし)神はその5世の孫に系譜づけられている。…

※「奇稲田姫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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