奥多摩(読み)オクタマ

デジタル大辞泉 「奥多摩」の意味・読み・例文・類語

おく‐たま【奥多摩】

東京都北西部、多摩川上流の地域。御岳みたけ山・鳩ノ巣渓谷日原にっぱら鍾乳洞などがある。
東京都の最西部、西多摩郡の地名。林業が盛ん。奥多摩湖がある。

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精選版 日本国語大辞典 「奥多摩」の意味・読み・例文・類語

おく‐たま【奥多摩】

  1. [ 一 ] 東京都北西部、西多摩郡の地名。奥多摩湖がある。青梅線が通じる。奥多摩町
  2. [ 二 ] 東京都西部、多摩川上流域の総称。青梅(おうめ)市西部、奥多摩町、あきる野市の西部、檜原(ひのはら)村を含む。山岳・渓谷美で知られ、秩父多摩国立公園の一部。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「奥多摩」の意味・わかりやすい解説

奥多摩(町)
おくたま

東京都の最西端、西多摩郡にある町。1955年(昭和30)氷川(ひかわ)町と古里(こり)村、小河内(おごうち)村が合併して成立。JR青梅線(おうめせん)、国道139号、411号(青梅街道)が通じる。関東山地を流れる多摩川の上流域と、その支流日原(にっぱら)川の流域を占め、総面積の約94%が林野である。スギ、ヒノキの人工林が美林をなし、林業を主産業としてきたが、1980年代以降は不振である。耕地は少なく、住宅とともに山麓(さんろく)の緩斜面に立地する。日原では石灰岩の採石があるが、採掘量の減少により青梅線の石灰石貨物列車は1998年(平成10)廃止された。またニジマスの養殖もみられる。氷川は青梅街道(甲州裏街道)筋(すじ)の宿として発達、現在では青梅線の終点(旧氷川駅は1971年奥多摩駅に改称)、奥多摩町の行政上の中心、また奥多摩湖(小河内ダム)を中心とする奥多摩観光の基地である。日原鍾乳洞(しょうにゅうどう)、鳩ノ巣渓谷(はとのすけいこく)、雲取山(くもとりやま)など、秩父多摩甲斐(ちちぶたまかい)国立公園に属する観光地が多い。面積225.53平方キロメートル、人口4750(2020)。

[沢田 清]

『『奥多摩町誌』(1985・奥多摩町)』



奥多摩
おくたま

東京都西部、多摩川水系の上流域で、山岳美で知られる地域。多摩川流域に青梅(おうめ)市の西部と奥多摩町、その支流秋川流域に檜原(ひのはら)村、あきる野市が属し、さらに奥多摩湖から上流の丹波(たば)川流域は山梨県の丹波山(たばやま)村に属する。奥多摩には東京都で最高峰の雲取山(くもとりやま)(2017メートル)および大洞山、七ツ石山、鷹巣(たかのす)山、六ツ石山、酉谷(とりたに)山、三頭(みとう)山など1500~2000メートル級の山々が連なり、山地を侵食する渓谷もまた美しい。山地のうち、1500メートル以上はカラマツ、コメツガなどの亜高山帯、1000~1500メートルはブナ、シラカンバなどの中山帯、1000メートル以下はスギ、ヒノキの人工林とナラ、クヌギなどの雑木林の低山帯に分かれる。おもな観光地としては、もっとも展望のよい雲取山、小河内(おごうち)ダムの奥多摩湖、秋川渓谷御岳渓谷(みたけけいこく)、御嶽(みたけ)神社の御岳山かぶと造の民家や古い民俗の残る数馬(かずま)の集落、日原鍾乳洞(にっぱらしょうにゅうどう)や倉沢鍾乳洞(現在は閉鎖)、紅葉の優れた丹波渓谷などがあり、秩父多摩甲斐国立公園(ちちぶたまかいこくりつこうえん)に属する。東京の市街地に近接することから観光、登山客が多く利用度が高い。JR青梅線が奥多摩駅(氷川(ひかわ))、JR五日市線が武蔵(むさし)五日市駅まで通じ、青梅街道のほか数馬から奥多摩湖南岸まで奥多摩周遊道路がある。

[沢田 清]

『佐藤孝太郎著『奥多摩ところどころ』(1957・京王多摩文化会)』


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改訂新版 世界大百科事典 「奥多摩」の意味・わかりやすい解説

奥多摩 (おくたま)

東京都の最西端,関東山地南部に含まれる地域の総称。この呼称は比較的新しく,昭和以後のもので,青梅市の西半部,西多摩郡奥多摩町,檜原村の全域,およびあきる野市五日市の一部をさす。多摩川沿いに奥多摩町氷川までJR青梅線が延び,本来の石灰岩運搬のほかに奥多摩観光の足となっている。青梅街道は多摩川沿いに山梨県丹波山(たばやま)村を経て甲州市の旧塩山市まで通じ,かつては甲州裏街道として利用された。奥多摩湖を中心に奥多摩有料道路(1990年無料開放)が開通し,観光には便利になったが,自然破壊のおそれも出ている。地形的には,多摩川とその支流の丹波川,日原(につぱら)川,秋川などの流域で,分水界には2000m級の山々が連なり,多摩川谷底との標高差は700~1000mと大きく,山腹の傾斜は急である。おもな山に東京都最高の雲取(くもとり)山(2017m),七ッ石山(1757m),鷹巣山(1737m),三頭山,六ッ石山,大岳山などがある。日原鍾乳洞や氷川の石灰岩採掘からわかるように,中生界の石灰岩層が発達している。縄文時代中期の遺跡や出土品があるが,居住の痕跡は古代末までみられない。奥多摩の大部分は江戸時代に幕府領とされ,豊かな森林資源の利用が行われた。自然林はモミ,ツガ,ヒノキ,ナラ,ブナ,クリ,ケヤキなどの樹種が中心で,さらに江戸への材木供給のため,杉,ヒノキの植林が大規模に行われ,青梅林業の名が残る。高い山と深い谷に加え多摩川流域の山林は水道水源林として保護されているため,自然の景観に恵まれ,秩父多摩国立公園(2000年に秩父多摩甲斐国立公園と名称変更)の東半部を構成している。とくに多摩川渓谷は,東から吉野峡をはじめ,鳩ノ巣渓谷,日原鍾乳洞,御岳(みたけ)山,奥多摩湖(小河内ダム)など景勝の地が多い。
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奥多摩[町] (おくたま)

東京都西端,西多摩郡の町。人口6045(2010)。山梨県,埼玉県と接する。多摩川およびその支流日原(につぱら)川上流の山地を占め,総面積の大部分は山林。北西端に東京都最高峰の雲取山(2017m)があり,大半は秩父多摩国立公園の区域に含まれる。中心集落の氷川は多摩川と日原川の合流点にあり,江戸時代に甲府に至る青梅街道の要地であった。1944年に青梅線が氷川まで開通,72年氷川駅を奥多摩駅と改称した。かつては製炭や林業が産業の中心であったが,現在は奥多摩湖(小河内ダム)をはじめ日原鍾乳洞,鳩ノ巣渓谷などの行楽地をひかえた東京近郊のレクリエーション地となっている。農産物としてシイタケ,シメジやワサビの生産がある。73年に奥多摩有料道路(90年無料開放)が完成し,奥多摩湖畔と檜原村数馬を結んでいる。日原では石灰石の採掘が行われ,京浜方面に送られる。奥多摩郷土資料館に展示されている小河内の山村生活用具は,重要有形民俗文化財,小河内神社に伝わる鹿島踊は重要無形民俗文化財に指定されている。
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百科事典マイペディア 「奥多摩」の意味・わかりやすい解説

奥多摩[町]【おくたま】

東京都西部,西多摩郡の町。多摩川上流と支流日原(にっぱら)川の流域を占め,大部分は山地。中心の氷川は青梅(おうめ)街道の宿場として発達。青梅線の終点。林業を行い,シイタケ,ワサビも産する。奥多摩湖日原の鍾乳洞などがあり,町域の大半が秩父多摩甲斐国立公園に属する。225.53km2。6045人(2010)。
→関連項目奥多摩奥多摩[駅]

奥多摩【おくたま】

東京都西部,多摩川上流と支流の秋川,日原(にっぱら)川流域をさし,秩父多摩国立公園の東部に当たる。中心は奥多摩町の氷川。射山渓,鳩ノ巣渓谷,数馬渓谷,日原・倉沢鍾乳(しょうにゅう)洞,秋川渓谷,奥多摩湖があり,雲取山,川乗山,御岳(みたけ)などは登山者でにぎわう。
→関連項目秩父多摩甲斐国立公園

奥多摩[駅]【おくたま】

東京都奥多摩町の中心に位置する,JR青梅線の終着駅。1944年に開業した当初は周辺の地名を採って〈氷川〉駅と称し,1971年に現在の駅名に改称されている。戦時中の開業にもかかわらず山小屋を模したユニークな駅舎が設けられており,今も現役で使われていることが評価され関東の駅百選にも選定されている。近年まで石灰石の積み出し駅として利用されていたが,自動車輸送に切り替えられて積み出し設備は廃止・撤去され貨物列車は発着しなくなった。標高は329mで東京都内のJR駅では最も高く,年間を通じて駅前発着のバスを利用する登山者でにぎわい,休日には都心からの直通列車も運転される。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「奥多摩」の意味・わかりやすい解説

奥多摩
おくたま

東京都西部,多摩川の本流と支流秋川の上流域一帯の総称。北西に隣接する奥秩父の山岳地域とともに,1950年秩父多摩国立公園 (現秩父多摩甲斐国立公園 ) に指定。四季の山岳美と渓谷美に富む。東京都の水道水源涵養林としての保護区域が大半。登山,ハイキング,キャンプの好適地でもある。代表的レクリエーション地は奥多摩湖,御岳山,鳩ノ巣渓谷,日原 (にっぱら) や倉沢の鍾乳洞,秋川渓谷,神戸岩 (かのといわ) など。

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