奥様(読み)おくさま

精選版 日本国語大辞典 「奥様」の意味・読み・例文・類語

おく‐さま【奥様】

〘名〙 (「さま」は接尾語) 公家(くげ)内室大名正妻など、身分ある人の妻を敬って呼ぶ語。のちには上流武家富商の妻などにもいい、現在では広く一般に用いられる。また、使用人などが女主人を敬って言う語。奥御(おくご)
※虎寛本狂言・墨塗(室町末‐近世初)「御国許へ下らせられて、美しい奥様に御めにかからせられたらば」
※二人女房(1891‐92)〈尾崎紅葉〉中「婢(をんな)書生車夫も奥様(オクサマ)奥様(オクサマ)と奉り」

おく‐さん【奥様】

〘名〙 (「おくさま(奥様)」の変化した語) 「おくさま」より少しくだけた言い方。現在、一般に最も広く用いられる。
※狂詩・古文鉄砲前後集(1761)「一朝逢富人奥様(ヲクサン)

おく‐ざま【奥様】

〘名〙 奥のほう。
※能因本枕(10C終)一〇八「おくさまにむきて書かせ給ふ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「奥様」の意味・読み・例文・類語

おく‐さま【奥様】

他人の妻を敬っていう語。
女主人を敬っていう語。使用人などが使う。「奥様の用事で参りました」
[補説]古くは、公家・大名などの妻の敬称だったが、のちに武家・富商などにもいうようになり、現在では広く一般に用いられる。
[類語]奥さん夫人奥方御寮人人妻お上さんマダムミセス令夫人賢夫人内室令室令閨内儀ご新造御寮人ごりょんさん大黒

おく‐ざま【奥様】

奥のほう。
「―へ、ゐざり入り給ふ」〈末摘花

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の奥様の言及

【奥】より

…これは線的に延びるものの最も遠ざかった部分を表しており,巻物や書籍の奥書,奥付もそれに似た用法である。建築空間的には,奥城(おくつき),奥の間,大奥などがあり,夫人を意味する奥方(おくがた)や奥様(おくさま)は,桃山時代や江戸時代の大名屋敷で夫人の居住する部分が屋敷の背後の方に配置されていたことから生まれたと考えられる。そのほか平安時代には,時間的に将来を指しても奥が使われたが,現代ではそれに該当する例は見当たらない。…

※「奥様」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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