奥無(読み)おうなし

精選版 日本国語大辞典 「奥無」の意味・読み・例文・類語

おう‐な・し アウ‥【奥無】

〘形ク〙 (「奥がない」の意) 深い考えがない。浅はかである。不用意である。軽率である。
※堺本枕(10C終)一八四「おのづから人の上も言ひそしりなどもしたるに、幼き子どもの聞きとりて、この人のある前にあふなく言ひ出たる」
古本説話集(1130頃か)五四「あふなくおぼゆるかたも、頼もしくなりぬれど、遠くなりまゐらするぞ、悲しかりける」
[語誌]平安時代から鎌倉時代にかけて用いられ、連用形での副詞的用法が多く見られる。「奥」の字音「アウ」から出た「奥無(あうな)し」とするのが通説であるが、古くから「あふなし」の表記例が多いので、後の「あぶなし」は、この「あふなし」が濁音化したものとする説もある。
おうな‐げ
〘形動〙

おく‐な・し【奥無】

〘形ク〙 奥深く際限がない。
※聞書集(12C後)「ときはなる花もやあると吉野山おくなく入りてなほたづね見む」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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