如在(読み)じょさい

精選版 日本国語大辞典 「如在」の意味・読み・例文・類語

じょ‐さい【如在・如才】

  1. 〘 名詞 〙
  2. [ 一 ] ( 「論語‐八佾」の「祭如在、祭神如神在」による語 ) 神・主君などが、眼前にいるかのように、つつしみかしこむこと。また、そのような態度で、ことをとり行なうこと。にょざい。
    1. [初出の実例]「冝下二五畿七道幣境内諸神。仍須長官潔斎。躬向社頭。敬以奉進。必致如在」(出典:日本三代実録‐貞観八年(866)四月一四日)
    2. 「利生方便の社の前には、日を逐うて如在の霊殿を仰ぐ」(出典:大観本謡曲・松尾(1483頃))
  3. [ 二 ] あるがままにすること。丁寧にしないこと。下に否定の語を伴って用いることが多い。
    1. ( 形動 )( ━する ) 気をつかわずにことをすること。形ばかりで、いい加減にことをすること。なおざりにすること。また、そのさま。疎略。等閑。不作法。ぞんざい。
      1. [初出の実例]「しうと・しうとめに如在なる妻」(出典:名語記(1275)六)
      2. 「御目を掛させられて被下い。夫は如才する事ではないぞ」(出典:虎寛本狂言・縄綯(室町末‐近世初))
    2. ( 形動 ) 手落ちがあること。手抜かりがあること。また、そのさま。抜かり。抜け目欠陥
      1. [初出の実例]「サムライ リャウニン シセラレタルコトワ ワガ jozai(ジョザイ) ナレバ」(出典:ロザリオの経(一六二二年版)(1622)ビルゼンサンタマリア、ロザリオに現し給ふ御奇特の事)
      2. 「われも人も、けふとあすとの日なれば、何がさて女在(ジョサイ)は御座らぬ」(出典:浮世草子世間胸算用(1692)四)
    3. なおざりにする気持があること。疎略に扱う気。悪意悪気
      1. [初出の実例]「於御使如在之篇、為傍輩懲粛、欲厳密御沙汰矣」(出典:東大寺文書‐元徳二年(1330)三月日・東大寺衆徒等重申状案)
      2. 「我もの喰ながら人の機嫌を取嫁子、みぢんも心に女在(チョサイ)も欲もなきお留守人」(出典:浮世草子・世間胸算用(1692)二)

にょ‐ざい【如在】

  1. 〘 名詞 〙 あたかもその場に神がいるかのごとくうやまいつつしむこと。→じょさい

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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