妊婦梅毒(読み)にんぷばいどく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「妊婦梅毒」の意味・わかりやすい解説

妊婦梅毒
にんぷばいどく

妊婦検診によって発見される梅毒で、大部分先天梅毒であり、本人が梅毒に感染していることを全然自覚せず、臨床症状もなく、梅毒血清反応が陽性であることだけで確認される。一般梅毒と同様に弱毒潜伏、無症状型が多く、かつてのように胎児を侵襲するほどの病原力はない。したがって、流産早産死産および生後死亡は激減し、駆梅してもこの面からの効果はみられないのが現状である。しかし、胎児が絶対に感染していないという保証はない。

 妊娠中に駆梅することは、胎児感染の防止や既感染の治療、および母体の治療に役だつが、完全治癒のためには分娩(ぶんべん)後も追跡する必要があり、母体は陰性化するまで引き続き治療を行うべきで、出生児のフォローアップも欠かせない。なお、結婚時の血液検査の励行は妊婦梅毒の予防となる。

[新井正夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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