妬し(読み)ネタシ

デジタル大辞泉 「妬し」の意味・読み・例文・類語

ねた・し【妬し/嫉し】

[形ク]
うらやましくねたましい。また、ねたましく思われるほどすばらしい。
「心にくく―・きぞまされる」〈明石
憎らしい。残念である。
「哀れなるかな、―・きかな、我が大師、何のとがましまして」〈今昔・一二・一三〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「妬し」の意味・読み・例文・類語

ねた・し【妬・嫉】

  1. 〘 形容詞ク活用 〙 ( 反発を感じ、ねたましく思う気持を表わす )
  2. 他人の充足した状態をうらやんで、反感の気持を抱く。うらやましくねたましい。また、ねたましく思われるほど、すばらしい。
    1. [初出の実例]「朕が嫌(ネタシ)(〈別訓〉そねむ)とおもふ所(ところ)の人を断らむ」(出典:日本書紀(720)崇峻五年一〇月(図書寮本訓))
    2. 「これはあくまでひきすまし、心にくくねたきねぞまされる」(出典:源氏物語(1001‐14頃)明石)
  3. 特に、男性に対して嫉妬の気持を抱く。ねたましい。
    1. [初出の実例]「〈末〉な取入そ 小雨にそぼ濡らせ 夜離れする いといとねたし」(出典:神楽歌(9C後)小前張・蟋蟀・或説)
  4. 自分の行為や選択が、思わしい結果を得られなくて、残念である。失敗がいまいましく後悔される。くやしい。
    1. [初出の実例]「淡路の御の歌におとれり。ねたき。いはざらましものをとくやしがるうちに」(出典:土左日記(935頃)承平五年二月七日)
    2. 「ねたう、心とどめても問ひ聞けかしと、あぢきなくおぼす」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)
  5. 他人にうまうまとしてやられて残念だ。また、他人から見下げられてくやしい。
    1. [初出の実例]「取かたき物を、かく浅ましく持て来る事を、ねたく思ひ」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
    2. 「人に似ぬ心ざまのなほたえずたちのぼれりけるとねたく、〈略〉めざましくつらければ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)

妬しの語誌

→「ねたましい(妬)」の語誌

妬しの派生語

ねた‐が・る
  1. 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙

妬しの派生語

ねた‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

妬しの派生語

ねた‐さ
  1. 〘 名詞 〙

ねった・し【妬】

  1. 〘 形容詞ク活用 〙ねったい(妬)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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