妬む(読み)ネタム

デジタル大辞泉 「妬む」の意味・読み・例文・類語

ねた・む【妬む/嫉む】

[動マ五(四)]
他人が自分よりすぐれている状態をうらやましく思って憎む。ねたましく思う。そねむ。「同僚昇進を―・む」
男女間のことで嫉妬しっとする。やきもちをやく。
「妻―・める気色もなくて過ごしけり」〈十訓抄・八〉
腹を立てる。恨み嘆く。
「いと憂しと思へど、さらに言ひも―・まず」〈大和・一五八〉
[用法]ねたむ・そねむ――「先に昇進した同期生をねたむ(そねむ)」など、うらやみ憎む意では相通じて用いられる。◇「順調な出世をそねみ、ねたまれる」のように重ねて使われることもある。また、「そねむ」の方が「ねたむ」に比べて、憎みうらむ気持ちが強い。
[類語]そねむやっかむやくやける羨むひがむねたましいうらやましい羨望嫉妬焼き餅岡焼き悋気妬心ジェラシー

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「妬む」の意味・読み・例文・類語

ねた・む【妬・嫉】

  1. 〘 他動詞 マ行五(四) 〙
  2. うらやましく憎らしいと思う。そねむ。
    1. [初出の実例]「故れ、素戔嗚尊、妬(ネタム)で姉(なねのみこと)の田(みた)を害(やふ)る」(出典日本書紀(720)神代(兼方本訓))
  3. 男女間のことで嫉妬する。やきもちをやく。
    1. [初出の実例]「若き男持ちたる、いと見苦しきに、こと人のもとに行くとてねたみたる」(出典:能因本枕(10C終)五二)
  4. 憎む。腹を立てる。遺恨に思う。憤り恨む。くやしく思う。
    1. [初出の実例]「忿(いか)で曰(い)はく、天圧(あめおす)の神至(いま)すと聞(きき)て吾(あ)が為慨憤(ネタミつつある)時、奈何(いかに)ぞ、烏鳥(からす)若此(かく)、悪(あ)しく鳴(ねな)くと云ふ」(出典:日本書紀(720)神武即位前(北野本訓))
    2. 「汝を嫉むで、召て、我等に給へ、其の怨を報ぜむと訴へ申すに依て」(出典:今昔物語集(1120頃か)一四)

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