始・初(読み)はじめ

精選版 日本国語大辞典 「始・初」の意味・読み・例文・類語

はじめ【始・初】

〘名〙 (動詞「はじめる(始)」の連用形の名詞化)
① 物事の起こり。原初
(イ) 物事の生成の発動、また、その時期。発生。
※御巫本日本紀私記(1428)神代上「開闢之初 安女津知乃比良久留波志女(あめつちのひらくるハシメ)
(ロ) 新しく事を起こすこと。また、その位置、時期。開始。切り出し。端緒
※伊勢物語(10C前)七八「宮づかへのはしめに、ただなほやはあるべき」
② 時間的推移における最も早い時期。「終わり」または「なか、あと」に対応し、副詞的にも用いる。
(イ) 初期。初頭
万葉(8C後)一八・四一三七「正月たつ春の波自米(ハジメ)にかくしつつ相し笑みてば時じけめやも」
(ロ) 最初。先。以前。
※伊勢物語(10C前)二三「はしめこそ心にくもつくりけれ、今はうちとけて」
※枕(10C終)七三「鳥の声も、はじめは羽のうちに鳴くが」
③ 物事の起こるみなもと。おおもと。本源。根源。本主。
※御巫本日本紀私記(1428)神代上「有一雌元之処〈比止津乃三乃波志女乃止古呂安利(ひとつのみのハシめのところあり)〉」
④ 物事の序列の第一。いくつか列挙するうちの、第一に主だったもの。
源氏(1001‐14頃)帚木「あまり情にひきこめられて、とりなせばあだめく。これをはしめの難とすべし」
⑤ ひと続きのものの最初の部分。
(イ) 表現の首部。書き出し。緒言前口上
蜻蛉(974頃)上「導師のはしめにん、〈略〉経の心とかせ給はんとにこそありけれとばかりいふを聞くに」
(ロ) 前の方。前半。最初の部分。
平家(13C前)八「既に十番競馬はじまる。はしめ四番、一宮惟喬親王かたせ給ふ」
⑥ 転じて、発端から現時点に至るいきさつ。一部始終。事の次第。井原西鶴の作品に多く見られる。
浮世草子好色一代男(1682)四「正気の時、やうすを問ば、はじめをかたる」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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