子をつれて(読み)コヲツレテ

デジタル大辞泉 「子をつれて」の意味・読み・例文・類語

こをつれて【子をつれて】

葛西善蔵かさいぜんぞう小説。大正7年(1918)発表。借家を出され、子供を連れて夜の街をさまよい歩く貧しい小説家の哀感を描く。

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精選版 日本国語大辞典 「子をつれて」の意味・読み・例文・類語

こをつれて【子をつれて】

  1. 小説。葛西善蔵作。大正七年(一九一八)発表。引っ越しを迫られた主人公万策つきて二人子どもをつれて町をさまよう。哀感の中にきびしさを加えて描いた私小説

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「子をつれて」の意味・わかりやすい解説

子をつれて
こをつれて

葛西善蔵(かさいぜんぞう)の出世作。1918年(大正7)3月の『早稲田(わせだ)文学』に発表、24年新潮社刊の同名の短編集に収録。小説家の小田が、金策のために帰郷した妻からの音沙汰(おとさた)がないまま、家を追い立てられ、2人の子をつれて夜の街にさまよい出る話。ひたすら「休息」を欲する父と、かれんな子の無邪気さがみごとなコントラストをなして描き上げられている。葛西の「悪生活」がうかがわれるが、その悪生活からでも感興を得て小説家たらんとした破滅志向や、香典返しエピソードにみられる特異な被虐意識など、この作家創作の方法を考えるうえで重要な作品。

[榎本隆司]

『葛西善蔵著『椎の若葉・湖畔手記他9編』(旺文社文庫)』『谷崎精二著『放浪の作家 葛西善蔵評伝』(1955・現代社)』

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