子宮破裂(読み)しきゅうはれつ(その他表記)Uterine Rupture

家庭医学館 「子宮破裂」の解説

しきゅうはれつ【子宮破裂 Uterine Rupture】

[どんな病気か]
 分娩ぶんべん)のとき、まれに子宮壁の弱いところが裂けてしまうことがありますが、これを子宮破裂といいます。ひどいときには、裂けた部位から胎児たいじ)が母親の腹腔内(ふくくうない)に押しだされてしまいます。その結果、胎児は死亡し、母体も子宮の傷からの大量の出血によってショック状態におちいります。産科救急処置が必要となる重要な病気の1つです。
[原因]
 子宮の壁は筋肉でできていますが、陣痛(じんつう)が強すぎたり、胎児が大きすぎるとき、胎児の位置が異常なために分娩が進まないときなどに、子宮壁が裂けることがおこります。
 また、かつて帝王切開(ていおうせっかい)や子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)の手術などを受けて、子宮に瘢痕はんこん)(ひきつれ)ができていると、それが原因で裂けることもあります。
[治療]
 子宮破裂の危険があると予測できるときは、陣痛が始まる前に帝王切開を行なうのが原則です。
 事前診断し、妊娠中から分娩まで十分な管理と適切な処置を行なえば、子宮破裂は予防することができますし、過去に子宮の手術を受けたことがある人でも、その傷の深さや治り方によっては、正常な分娩ができることもあります。
 子宮破裂がおこりそうになっている状態を切迫子宮破裂(せっぱくしきゅうはれつ)といいますが、その部位を押すと強い痛みがみられます。この場合、陣痛を弱くする処置をしたり、早めに帝王切開を行ないます。
 子宮破裂をおこした場合、陣痛が止まり、一時的に楽になることもありますが、診断がつきしだい、緊急の開腹手術が必要となります。

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改訂新版 世界大百科事典 「子宮破裂」の意味・わかりやすい解説

子宮破裂 (しきゅうはれつ)
rupture of the uterus

異常分娩の一つ。分娩中に子宮壁に裂傷が生じ,子宮内腔と腹腔とがつながり,胎児が腹腔内にとび出す状態となったものをいう。ふつうは分娩に際して胎児が容易に生まれない難産に陥った場合に,強い陣痛(子宮収縮)によって子宮壁が破裂することによって起こるが,そのほかに,やはり難産で,胎児が娩出する際に子宮口が裂けて,いわゆる頸管裂傷というのができて,この裂傷が上方に延長して子宮体部にまで及んだものも一種の子宮破裂である。後者でも,もちろん大出血が起こるが,前者では性器出血ばかりではなく,腹腔内にも大出血し,胎児はすべて死亡し,母体も生命の危険がきわめて大きくなる。したがって子宮破裂の場合は大至急開腹して胎児を取り除く一方,子宮を摘出しなければならないが,ときに破裂部位を縫合して子宮を温存できる場合もある。

 なお前回分娩が帝王切開である場合の次回妊娠中あるいはその分娩に際して,前回の子宮切開創瘢痕(はんこん)部が離開し,まだ表面の腹膜が破れていないために,子宮内腔と腹腔とが完全につながっていない状態のものを不全子宮破裂という。これもまた大至急帝王切開を行う必要がある。
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百科事典マイペディア 「子宮破裂」の意味・わかりやすい解説

子宮破裂【しきゅうはれつ】

妊娠子宮の裂傷。全破裂(筋層,腹膜)と不全破裂(筋層のみ)がある。原因は,子宮発育異常,狭骨盤,胎位異常,巨大児,けいれん陣痛など内因性の場合と,拙劣な鉗子(かんし)手術などの外因性の場合とがある。症状は強い下腹痛があり,陣痛が停止し,出血,嘔吐(おうと),失神などが起こり,脈拍も微弱となる。放置すれば胎児・母体ともに危険なので,帝王切開や,重症の場合は子宮全摘除術などを行う。
→関連項目狭骨盤出産

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