孔尚任(読み)コウショウジン

デジタル大辞泉 「孔尚任」の意味・読み・例文・類語

こう‐しょうじん〔‐シヤウジン〕【孔尚任】

[1648~1718]中国、清初の劇作家詩人曲阜きょくふ山東省)の人。あざな聘之へいし。号、東塘とうとうほか。孔子の64代目の子孫戯曲桃花扇」は清代戯曲の代表作詩集「湖海集」など。

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精選版 日本国語大辞典 「孔尚任」の意味・読み・例文・類語

こう‐しょうじん ‥シャウジン【孔尚任】

中国、清初の文人。字(あざな)は聘之。号は東塘など。山東曲阜の人。孔子六四世の孫。国子監博士となり、累官して戸部員外郎に進む。清代戯曲の代表作「桃花扇」の作者。また、著に「湖海詩集」など。(一六四八‐一七一八

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「孔尚任」の意味・わかりやすい解説

孔尚任
こうしょうじん
(1648―1718)

中国、清(しん)初の文人、戯曲作家。字(あざな)は聘之(へいし)、季重(きちょう)、号は東塘(とうとう)または岸堂(がんどう)、云亭(うんてい)山人と称した。山東省曲阜(きょくふ)に生まれ、孔子の64代目の子孫。1684年康煕帝(こうきてい)の孔子廟(びょう)行幸のときには進講官となり、国子博士を授けられた。翌年北京(ペキン)へ赴任、治水監督官として江南に派遣され、揚州南京(ナンキン)に行き、明(みん)の故宮を訪れ、明朝亡国の認識を深め、戯曲『桃花扇(とうかせん)』の素材を得た。十数年かかり三度稿を改め、『桃花扇』が完成すると、宮廷所属の崑曲(こんきょく)の劇団は競ってこれを上演したという。『桃花扇』のほか戯曲『小忽雷(しょうこつらい)』『湖海詩集』『岸堂文集』があり、近年『孔尚任詩文集』(1962・中華書局)にまとめられた。

[平松圭子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「孔尚任」の意味・わかりやすい解説

孔尚任
こうしょうじん
Kong Shang-ren

[生]順治5(1648)
[没]康煕57(1718)
中国,清初の劇作家。山東省曲阜の人。字,聘之 (へいし) ,季重。号,東塘など。国子監博士から戸部員外郎までのぼり,康煕 38 (1699) 年官を辞して以後郷里で自適した。文才があり音楽に通じ,劇作家としては洪昇と並んで「南洪北孔」と称される。特に明亡国の際の混乱を背景に,文人侯方域と妓女李香君の悲恋を描いた『桃花扇』は,3度稿を改め 10年を要して完成したもので,洪昇の『長生殿』と並ぶ清初崑曲の傑作である。ほかに伝奇『小忽雷』,詩文集『湖海集』など。

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世界大百科事典(旧版)内の孔尚任の言及

【桃花扇】より

…中国,清代の戯文。孔尚任(1648‐1708)の作。明末の文人侯方域と南京秦淮の名妓李香君を主人公とする佳人才子劇であるが,明王朝が次第に崩壊してゆく諸相を背景に,混乱の世を純粋の恋に生きようとする2人の姿を浮彫にしている。…

※「孔尚任」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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