このことばには、〔1〕宇宙開発を遂行するために必要な装置・施設を備えた地上の基地(スペース・センター)と、〔2〕宇宙空間に建設される活動拠点としての宇宙ステーション(スペース・ステーション)の二様の意味がある。さらに〔1〕についても、人工衛星などをロケットに搭載して打ち上げるための発射基地を意味する場合と、衛星やロケットの研究開発や地上試験などを行うための基地をさす場合がある。
ここでは〔1〕のうちの発射基地について述べる。〔2〕については「宇宙ステーション」「国際宇宙ステーション」の項目を参照のこと。
発射基地には次のような厳しい立地条件が要求される。
(1)打上げに先だって行うべきロケットや衛星の組立て、点検、調整などの作業、および打上げ後に行うべき光学的・電波的追跡などの作業を円滑に行いうるよう、十分の面積を有し、電力、水量に恵まれ、通信交通の便がよいこと。
(2)ロケットが打上げ直前、あるいは打上げ直後に不測の爆発事故などを起こしても安全を保持できるよう、人家のない広大な面積を有すること。
(3)飛行を始めたロケットが不具合事故で落下しても災害を最小限にとどめうるよう、発射方向の前面が大きく開けていること。
(4)静止衛星打上げに際してロケットの推進薬エネルギーを節約できるよう、なるべく赤道に近い低緯度地域が望ましいこと。
以上のような互いに背反するところもある諸条件を満足することは困難で、世界の主要な発射基地にも一長一短がある。
たとえば、アメリカ東海岸のケネディ宇宙センターは、東方が大西洋に面して開けているため、東方向の地球周回衛星や静止衛星の打上げには好適であるが、極軌道衛星の打上げには不適である。逆に、アメリカ西海岸のバンデンバーグ基地は、太平洋に面して西方向と南方向が開けているため、極軌道衛星を南方向に打ち上げるには好適であるが、静止衛星の打上げには適さない。
南アメリカのギアナに位置するESA(ヨーロッパ宇宙機関)のクールー基地(ギアナ宇宙センター)は赤道に近く、大西洋に面して東方向と北方向が開けており、静止衛星にも極軌道衛星にも適しているが、ヨーロッパとの距離が非常に遠く、交通の便がよくない。
ロシアと中国の発射基地は大陸の奥深く、かつ高緯度の地に位置しているため、静止衛星の打上げに有利とはいいがたい。日本の種子島(たねがしま)、内之浦は、ケネディ宇宙センターとほぼ同緯度で、東方向と南方向が開けており、静止衛星、極軌道衛星の双方とも打上げ可能であるが、ともに面積が狭小(とくに内之浦)で、大型ロケットの発射には限界がある。
[黒田泰弘]
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