日本大百科全書(ニッポニカ) 「守口(市)」の意味・わかりやすい解説
守口(市)
もりぐち
大阪府中央部にある市。淀(よど)川南岸に位置し、大阪市東部に隣接する。1946年(昭和21)北河内(きたかわち)郡守口、三郷(さんごう)の2町が合併して市制施行。1957年庭窪(にわくぼ)町を編入。市域のほとんどは高度2メートル程度の低湿地である。市街の中心部を京阪電気鉄道京阪本線が走るほか、地下鉄(大阪市高速電気軌道)谷町(たにまち)線、大阪モノレール本線、国道1号、163号、479号、近畿自動車道、阪神高速道路などが通じる。この地の開発は古いが、近世に豊臣(とよとみ)秀吉が淀川に文禄堤(ぶんろくづつみ)を築き、その堤防上は京街道となり、守口は宿駅として繁栄した。その堤防は、現在も京阪電鉄軌道の西側に残っている。守口宿は大坂の門戸として交通の要地であった。1910年(明治43)現京阪電鉄が開通し、大阪市東部工業地帯の延長として、鋳造、衣料加工の工場が生まれた。1933年(昭和8)に松下電器(現、パナソニック)が国道1号沿いに進出してから弱電機器の町となり、第二次世界大戦後は三洋電機も加わり、その関連企業とともに発展を続けている。北部の守口ダイコン、東部の蓮根(れんこん)栽培は有名であったが、都市化のためほとんど消滅している。浄土真宗の寺が多く、難宗寺(なんしゅうじ)は守口御堂または西御坊とよばれる。真言(しんごん)宗光明寺(こうみょうじ)の十一面観音(平安時代)、来迎寺(らいごうじ)の八幡曼荼羅(はちまんまんだら)図は国指定重要文化財。文園(ふみぞの)町に関西医科大学、南部に大阪市鶴見(つるみ)区にまたがって鶴見緑地がある。面積12.71平方キロメートル、人口14万3096(2020)。
[安井 司]
『『守口市史』全7冊(1962~2000・守口市)』