安居寺(読み)あんごじ

日本歴史地名大系 「安居寺」の解説

安居寺
あんごじ

[現在地名]福野町安居

高野山真言宗に属し、山号は弥勒山。本尊は観音堂に安置される聖観音(現在は観音堂背後の収蔵庫に保存)。「越の下草」によると、聖武天皇の勅願所で、本尊聖観音は釈迦自身が母摩耶夫人の追善のために赤栴檀を刻んだ像といわれ、養老二年(七一八)にインド僧善無畏三蔵により請来されたという。寺名は善無畏がここに一夏九旬(九〇日)籠居して修行し、本尊を安置したことにちなむという。往古は近辺の谷や田畑となっている辺りに支坊二四ヵ寺があったとされ、承平・天慶の乱の頃には当寺西方の奥山にあたる滝寺たきでらに兵火を避けたという。「北国巡杖記」などは同時期に花山天皇巡礼があったとする。貞治年中(一三六二―六八)の桃井直常追討の争乱に際して伽藍などが焼亡し、戦国末期の上杉謙信の越中侵攻によって荒廃、本尊を伝えるだけとなったという。なお延宝年中社寺来歴などは開創を天平元年(七二九)行基によるとしている。支坊二四ヵ寺のうち興法寺こうぼうじ香城寺こうじようじ安養寺あんようじ善法寺ぜんぽうじなどの地名が今も残る。文禄二年(一五九三)婦負ねい安田やすだ(現婦中町)城主岡島備中守一吉の夫人(法名月清)が本尊を尊信して度々参詣した(越の下草)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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