朝日日本歴史人物事典 「安成貞雄」の解説
安成貞雄
生年:明治18.4.2(1885)
大正時代の評論家。秋田県生まれ。早稲田大学英文科卒。大正三奇人のひとりとして,酒,コカイン,ヨタリストなどの言葉が連想されるが,大館中学時代は俳句に頭角を現し(号路台),早稲田社会学会に属して平民社に出入りし,『火鞭』の同人であり,『近代思想』『新社会』などにかかわった犀利な批評家,翻訳家でもあった。しかし,職は各新聞社,実業之世界社などを転々とし,旺盛な読書力と優れた英語力をもって「学東西に亘り,識古今を貫き」と称したほどであったが,その才を生かしきれず終わった。主著『文壇与太話』。親友荒畑寒村の『悪友行状記』がよくその面影を伝える。
(堀切利高)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報