安積山(読み)アサカヤマ

デジタル大辞泉 「安積山」の意味・読み・例文・類語

あさか‐やま【安積山/浅香山】

福島県郡山市日和田にある山。葛城王かずらきのおおきみ采女うねめとの伝説で知られる。同市片平額取ひたとり山とする説もある。[歌枕
「―影さへ見ゆる山の井の浅き心を吾が思はなくに」〈・三八〇七〉

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精選版 日本国語大辞典 「安積山」の意味・読み・例文・類語

あさか‐やま【安積山・浅香山】

  1. 福島県郡山市にある山。歌枕。「万葉集」にみえる采女(うねめ)葛城王橘諸兄)の伝説がある。挙例の歌は、「古今集」序で和歌父母とされ、手習いの始めに用いたので、手習い、習字意味にもいう。
    1. [初出の実例]「安積香山影さへ見ゆる山の井の浅き心を吾が思はなくに」(出典:万葉集(8C後)一六・三八〇七)
    2. 「あさか山(ヤマ)手本をもらひ、手習成(なさ)るが羨しく」(出典読本・逢州執着譚(1812)二)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「安積山」の意味・わかりやすい解説

安積山
あさかやま

歌枕(うたまくら)として知られる地名で、福島県中央部の郡山(こおりやま)盆地の日和田(郡山市)にある小丘と比定される。小丘には『万葉集』巻16の「あさか山かげさへみゆる山の井の……」の歌碑がある。旧奥州道中沿いで、近くに山ノ井の清水(しみず)もあったといわれる。芭蕉(ばしょう)もこの地に寄ったが、同行曽良(そら)は、山ノ井はここではなく片平(かたひら)にあると聞かされたという。片平(郡山市)の安積山は額取山(ひたいとりやま)(1008メートル)で、郡山地方ではこの額取山を安積山とよんでいる。

[安田初雄]

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