定款(読み)テイカン

デジタル大辞泉 「定款」の意味・読み・例文・類語

てい‐かん〔‐クワン〕【定款】

公益法人会社協同組合などの社団法人目的組織活動などに関する根本規則。また、それを記載した書面
[類語]約款

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精選版 日本国語大辞典 「定款」の意味・読み・例文・類語

てい‐かん‥クヮン【定款】

  1. 〘 名詞 〙 公益法人、会社、協同組合など社団法人の設立に際して、その目的、内部組織、活動などについて定めた根本法則。また、それを記載した書面。財団法人寄付行為に当たる。
    1. [初出の実例]「別冊命令書下附候条、定款取調可伺出事」(出典:郵便報知新聞‐明治一八年(1885)一〇月二日)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「定款」の意味・わかりやすい解説

定款
ていかん

会社の組織・活動を定めた根本規則(実質的意義の定款)。これを記載した書面・記録した電磁的記録を定款ということもある(形式的意義の定款)。株式会社を設立するには発起人が定款を作成し、これに署名または記名捺印(なついん)(電子署名も可)することに始まる(会社法26条1項・2項)。定款は、その内容を明確にして後日の紛争や不正行為を予防するため、公証人による認証を必要とし(同法30条1項)、その認証を受けなければ効力を生じない。一般に、設立当初に作成された定款を原始定款という。

[戸田修三・福原紀彦]

記載事項

定款の記載事項は、その法的効力によって、絶対的記載事項・相対的記載事項・任意的記載事項に分けられる。

[戸田修三・福原紀彦]

絶対的記載事項

定款にかならず記載しなければならない事項で、その一つの記載を欠いても定款全体が無効となるもの(会社法27条)。(1)会社の目的、(2)商号、(3)本店所在地、(4)設立に際して出資される財産の価額またはその最低額、(5)発起人の氏名および住所(同法27条1号~5号)、(6)発行可能株式総数がある。なお、発行可能株式総数(いわゆる授権株式数)は、定款作成時に定める必要はなく、設立手続完了時までに定款で定めればよい(同法37条1項、98条)。

[戸田修三・福原紀彦]

相対的記載事項

定款に記載しなくても定款自体の効力には影響はないが、記載しなければその事項について法律上の効力を生じないもの(同法29条)。代表的なものには公告方法と変態設立事項がある。

〔1〕公告方法 (1)官報に掲載する方法、(2)日刊新聞紙に掲載する方法、(3)電子公告のいずれかを定款で定めることができる(会社法939条1項・2項)。定款で定めないと官報に掲載する方法をとることになる(同法939条4項)。

〔2〕変態設立事項 「危険な約束」とよばれるものであり(同法28条)、具体的には、(1)現物出資、(2)財産引受け、(3)発起人の報酬・特別利益、(4)設立費用がある。これらの変態設立事項は、会社の財産的基礎を害するおそれがあるため、原始定款の相対的記載事項とされ、原則として裁判所が選任する検査役の調査を受けることを要し、そこで不当と認められた場合には裁判所または創立総会において変更される(会社法33条1項・7項)。

[戸田修三・福原紀彦]

任意的記載事項

単に定款に記載しうるにすぎない事項(会社法29条)。株式会社の本質強行法規に反しない限り、任意の事項を記載できる。

[戸田修三・福原紀彦]

『森・濱田松本法律事務所編、藤原総一郎・堀天子著『新・会社法実務問題シリーズ1 定款・各種規則の作成実務』(2006・中央経済社)』『宝印刷証券研究会編、中村信男著『会社法による定款作成の実務――全株懇モデルの検討と解説』(2006・中央経済社)』

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改訂新版 世界大百科事典 「定款」の意味・わかりやすい解説

定款 (ていかん)

社団法人(公益法人,会社,各種の協同組合等)の組織・活動についての根本規則(民法38条,商法62条,72条,342条,有限会社法5条,中小企業等協同組合法27条等),およびこれを記載した書面(民法37条,商法63条,166条,有限会社法6条,中小企業等協同組合法33条等)をいう。財団法人の寄付行為に相当する。社団法人の設立を担当する者(設立者,発起人)が,これを定めて書面に記載する。株式会社および有限会社ではこの書面は公証人の認証を受けなければその効力を生じない(商法167条,有限会社法5条2項)。定款には絶対的記載事項と相対的記載事項とがある。前者は,その記載が欠け,あるいは違法な場合には定款全部が無効となるような事項,例えば,法人の目的,名称社員機関資産,事務所など組織に関する基本的事項であり,各種の法人につき法律で明示されている(民法37条,商法63条,148条,166条,有限会社法6条,中小企業等協同組合法33条1項等)。後者は,それを定めるかどうかは自由であるが,いったん定めた場合は,定款に記載しないと効力を生じない事項であり,現物出資財産引受けなどの変態設立事項はこれに属する(商法168条,有限会社法7条,中小企業等協同組合法33条3項等)。さらに,任意的記載事項として,強行法規,公序良俗,その法人の本質に反しない限りどんな事項も任意に定款で定めることができる。しかし,これもいったん定款で定めればその変更には定款変更の手続を必要とする。

 なおこのほか必ずしも社団法人とはいえない特殊法人の根本規則も定款と称している(日本銀行法9条,放送法11条等)。

 このように,定款は社団法人の根本規則であるが,その本質や強行法規・公序良俗に違反しない限り,自主的にこれを変更することができる。これを定款変更という。定款変更は,社団法人の構成員たる社員その他の利害関係者に重大な影響を及ぼすところから,社団法人の最高の意思決定機関たる社員総会,株主総会等の承認を得なければならないものとされている。その要件は社団法人の種類ごとに定められているが,多数決による場合には,社員の固有の権利(たとえば議決権)を侵したり,社員平等の原則に反してはならないと解されている。定款変更の手続としては,たとえば公益法人では総社員の4分の3以上の同意と主務官庁の認可(民法38条),合名会社,合資会社では総社員の同意(商法72条,147条),株式会社および有限会社では,株主総会または社員総会の特別決議(商法342条,343条,有限会社法47条,48条)を要する。また協同組合では,組合員総会の特別決議のほか,行政官庁の認可が必要である(中小企業等協同組合法51条,53条等)。このような法律上の手続による定款変更のほか,事実の変更により当然に定款が変更される場合がある(社員の死亡,営業所の地名変更等)。なお書面としての定款の変更は,これら実質的変更の結果にすぎず,法人の通常の業務執行行為の一部と考えられている。また会社更生手続中の定款変更については,特則がある(会社更生法52条2項,211条2項,219条,251条,249条等)。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「定款」の意味・わかりやすい解説

定款
ていかん
articles of incorporation

会社公益法人社団法人の組織,活動を定めた根本規則またはこれを記載した書面。会社をはじめ,各種社団法人を設立するときは必ず作成しなければならない(→設立)。定款には法人の目的,名称,社員,機関,資産に関する事項など法定の組織に関する基本事項を記載することが必要で,その一つでも欠けたり違法である場合には定款が無効となる事項(絶対的記載事項)と,それを定めるか否かは法人の自由で,その欠如が定款を無効にすることはないが,定款に記載されていない場合には効力を生じない事項(相対的記載事項)がある。そのほか,法令,公序良俗,法人の本質に反しないかぎり定款に定めることができる事項(任意的記載事項)がある。

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株式公開用語辞典 「定款」の解説

定款

定款とは、会社や社団法人などの組織のあり方を定める根本ルールである。組織のあり方の中でも特に基本的な事(例えば目的や名称)については、定款に定めるよう法定されており、これを定めない限り、法人とは認められない。定款を変更する場合、その他の事項を決する場合よりも厳格な手続きが要求され、株式会社の場合、原則として株主総会の特別決議を必要とする。新会社法の下で定款で記載すべき事項として絶対的記載事項は1. 目的2. 商号3. 本店の所在地4. 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額5. 発起人の氏名又は名称及び住所の5項である。相対的記載事項としては、総会決議をおこなう場合の定足数を変更するなど、定款に記載しなければその旨の取扱いをおこなえない事項を定めることが認められる。他に、任意的記載事項として新会社法の規定に違反しないものを定めることが認められる。

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百科事典マイペディア 「定款」の意味・わかりやすい解説

定款【ていかん】

社団法人(会社・公益法人等)の組織・活動・構成員についての根本規則,またはこれを記載した書面。法人の設立に当たる者が定める。絶対的(必要的)記載事項と任意的記載事項があるが,株式会社等ではさらに定款に記載されたときのみ効力を生ずる相対的記載事項もある。
→関連項目株式会社変態設立発起人

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会計用語キーワード辞典 「定款」の解説

定款

事業内容、商号、本店所在地、役員の数など会社の根本的な事項を定めたルールで、会社の憲法ともいえます。これを変更するには株主総会において特別決議をもって承認を得る必要があります。役員の員数制限をしたり、役員の改選任期をずらしたり、と定款の記載内容を工夫することで、買収防衛策にもなり得ます。

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M&A用語集 「定款」の解説

定款

事業内容、商号、本店所在地、役員の数など会社の根本的な事項を定めたルール。会社の憲法ともいえる。これを変更するには株主総会において特別決議をもって承認を得る必要がある。役員の員数制限をしたり、役員の改選任期をずらしたり、と定款の記載内容を工夫することによって買収防衛策になることもある。

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普及版 字通 「定款」の読み・字形・画数・意味

【定款】ていかん

約款。

字通「定」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の定款の言及

【社団法人】より

…営利を目的とする社団法人を会社といい,通常,社団法人という場合には,公益社団法人を指している。
[設立手続]
 公益社団法人を設立するためには,社団法人を設立しようとする2人以上の者が,設立の意思をもって法人の根本規則である定款を定めて書面にしなければならない。この定款の作成が実質的な設立行為となる。…

※「定款」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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