宿預(読み)やどあずけ

精選版 日本国語大辞典 「宿預」の意味・読み・例文・類語

やど‐あずけ ‥あづけ【宿預】

〘名〙
① 江戸時代、未決囚拘禁の方法の一つ。出府した被疑者を、取調べ期間中公事宿(くじやど)(=江戸宿)に預けること。手鎖(てじょう)、過料、叱(しかり)など軽い罪にあたるものに用いられた方法で、重罪のものは入牢させた。〔地方落穂集(1763)〕
② 江戸時代、領主地頭が、年貢を未進し、または借金を弁済しない百姓を、村役人などに預け拘禁すること。懲戒および上納、返済を促すために行なわれた。
随筆・世事見聞録(1816)一「宿預け又は手鎖抔の咎に逢ても、納る事ならす」
③ 江戸時代、主家の金を使い込んだ奉公人などを、その請人(うけにん)に預けること。引負い金の弁済を促すために行なわれた。また、病気などにかかった奉公人も預けた。
※洒落本・古契三娼(1787)「新川渋染を宿(ヤド)あづけにさする程の全盛
④ 女が住込み奉公をするため、子どもを里などに預けること。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の宿預の言及

【預】より

…無宿(むしゆく)は原則として入牢させたが,有宿の者で軽い罪に該当するときは,手鎖(てじよう)を掛け,あるいは掛けずに私人か団体に預けた。江戸町方では宿預(やどあずけ),町預,在方では村預が主として行われた。宿預は町人のときは差添人たる町役人,江戸の公事宿(くじやど)に止宿している者はその宿に,村預は親類,五人組,村役人に命じた。…

【公事宿】より

…江戸時代,訴訟・裁判のため出府した者を宿泊させた宿屋で,公事人宿ともいい,その主人・下代などは訴訟行為の補佐をすることが公認されており,職業的弁護士類似の役割を果たした。江戸の公事宿は〈江戸宿〉というのが公称で,馬喰町小伝馬町組旅人(りよじん)宿,八拾二軒組百姓宿,三拾軒組百姓宿の3組合が株仲間を形成しており,差紙(さしがみ)(役所への召喚状)の送達を委任されていたほか,宿預(やどあずけ)(宿での勾留。吟味筋出入筋とも行われた)の者に対する責任を負い,また評定所や奉行所などへの出火駈付(かけつけ)の義務などが課されていた。…

※「宿預」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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