富木郷(読み)ときごう

日本歴史地名大系 「富木郷」の解説

富木郷
ときごう

和名抄」高山寺本に載る法美ほうみ罵城とき郷の系譜をひく中世の郷で、国府近辺に比定する説がある。日蓮の檀越富木氏の本貫地で、元弘三年(一三三三)正月一三日の作成と推定される日興置文(興尊全集)に「因幡国富城荘」の本主富木常忍(日常)らが日蓮自筆の「観心本尊抄」一巻などを与えられたことが記されている。富木氏は国府近辺に居住していた在庁と思われるが、常忍の父と考えられる富城中太入道蓮忍が千葉氏に従って関東に移住したらしい。常忍は建長二年(一二五〇)頃に蓮忍から譲られた所従を因幡一宮宇倍うべ宮の公文元富に奪われたと訴えているので、鎌倉時代後期にはまだ当地に所領をもっていたが、その支配力は失われていたと考えられる(年月日未詳「富木常忍申状」中山法華経寺所蔵双紙要文紙背文書)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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