寒稽古(読み)カンゲイコ

デジタル大辞泉 「寒稽古」の意味・読み・例文・類語

かん‐げいこ【寒稽古】

武道芸道で、寒中の早朝夜間などに行う稽古 冬》「―子弟の骨を鍛へけり/碧梧桐
[類語]リハーサル練習らし下稽古したげいこ習練訓練特訓稽古けいこ温習おさらい演習トレーニングエクササイズゼミナールフィールドワークレッスンゲネプロ通し稽古舞台稽古立ち稽古稽古事鍛錬練磨練成修業修練教練試練

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精選版 日本国語大辞典 「寒稽古」の意味・読み・例文・類語

かん‐げいこ【寒稽古】

  1. 〘 名詞 〙 寒中に、早朝または夜間、武芸スポーツ音曲などを稽古すること。特に、寒の間三〇日間の稽古をいう。《 季語・冬 》
    1. [初出の実例]「寒声つかふ 十二 寒垢離 同 寒古 同」(出典:俳諧・季引席用集(1818))

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改訂新版 世界大百科事典 「寒稽古」の意味・わかりやすい解説

寒稽古 (かんげいこ)

一年中でもっとも寒い寒中の一定期間,早朝あるいは夜間に武道音曲を稽古する日本古来の修行法。現代武道においてもこの伝統的な稽古法は広く行われ,寒中に5~15日くらいの間で日数を定め,早朝寒さにうちかって激しい訓練をすることにより,精神的錬磨をおもな目的としている。このような稽古法は〈寒行〉,あるいは〈寒修行〉といわれて,古くから行われていた神道,仏教の修行法にその原形を見ることができる。例えば,神社に裸,素足で参詣する寒参り,または寒詣,あるいは参籠,禊祓(みそぎはらえ)や水垢離(みずごり)といった苦行,仏教では奈良時代から行われていた仏名会(ぶつみようえ),山伏の苦行などの思想や方法が一体化して,芸道にもこのような修行法が形成されていったのであろう。武道においては〈寒稽古〉と並んで〈暑中稽古〉もあるが,寒さ暑さに対して逃避するのでなく,かえって積極的に行うことによって寒暑二つに安住するという思想は,禅語の〈寒は寒殺,暑は熱殺〉に通じるものがある。このような〈寒修行〉を,教育的立場から近代武道に導入したのは嘉納治五郎で,1894年,講道館教育計画の中に〈寒稽古〉としてとり入れたのがその最初である。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「寒稽古」の意味・わかりやすい解説

寒稽古
かんげいこ

寒の期間に武芸その他の諸芸を修練すること。江戸時代には、武芸では剣術・槍術(そうじゅつ)・弓術馬術遊芸では寒復習(かんざらい)ともいい、唄(うた)・浄瑠璃(じょうるり)・三味線など、それぞれ町道場や師匠の家に集まり、その道の技(わざ)を磨いた。いまも武道関係諸団体で同様のことがある。精神修養に主眼を置いた慣行である。正月と重なることが多いため、11日の鏡開きと結び付け、稽古が終わってから汁粉をふるまうなどの例もある。

[井之口章次]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「寒稽古」の意味・わかりやすい解説

寒稽古
かんげいこ

寒中の一定期間,武道などの練習を早朝に行う日本古来の修行法。柔道や剣道において実施されており,現在では早朝に限っていない。寒さから逃避するのではなく,それに積極的に取組み,技術修得よりもむしろ精神力の養成に力点をおくことに意味がある。講道館では,1894年以来毎年1月6日から 30日間行なっている。

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