朝日日本歴史人物事典 「寺尾亨」の解説
寺尾亨
生年:安政5.12.29(1859.2.1)
明治大正期の国際法学者。福岡藩出身。父は寺尾喜平太,母はアイ。明治17(1884)年司法省法律学校卒。ボアソナードの下で刑法を学ぶ。23年帝大法科大助教授。24年同教授。25~28年パリ大学留学,国際法を学ぶ。対露強硬論七博士のひとり。その発言で兼任の外務省参事官を免職。「天下の志士」を自任,辛亥革命(1911)に頭山満,犬養毅らと渡中,革命政府法律顧問となる。45年東大を辞任。亡命中の孫文やインド独立運動家ビハリ・ボースらを保護,若き広田弘毅も援助を受けた。朝昼晩酒を飲み,寝酒も飲んだ。同僚の松波仁一郎に「君少し病気してくれ,学生に酒の害を説かねばならぬから」といわれたが,健康で66歳まで生きた。天文学者寺尾寿 の弟,女優東山千栄子は姪で養女。<著作>『国際私法』
(長尾龍一)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報