中国、明(みん)代の長編小説。万暦(1573~1619)なかばの成立と考えられる。『封神伝』『封神榜(ぼう)』ともよぶ。100回。作者陸西星(りくせいせい)(1520―1604以降)は字(あざな)を長庚(ちょうこう)といい、道教丹道派東派の開祖で潜虚真人と号し、『方壺(ほうこ)外史』『南華副墨』『楞厳経述旨(りょうごんきょうじゅつし)』などの著述がある。妲己(だっき)に惑わされ無道な行いを続ける紂(ちゅう)王と、姜子牙(きょうしが)(太公)を軍師とした文王・武王の争いに、仙界の二大派閥、闡(せん)教と截(せつ)教が参加し、子牙により戦死した多数の仙人が神に封ぜられることをもって終わる。殷(いん)周交代にかかわる伝承をもとに、明代後期の三教合一思想や民間の説話・俗信を交え、西星が自己の思想をもって統一したもの。先行する作品には『武王伐紂平話(へいわ)』がある。
[大塚秀高]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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