取扱い商品構成が限定され,高度に専門的な商品知識をもち,対面販売方式によって,限られた忠誠心(ロイヤルティ)の高い顧客を対象に商品を販売する小売店をいう。専門店の取り扱う商品は一般に買回り品および専門品であり,商品の幅は限られていても多数の品目をとりそろえ,比較的高品質で高価格の商品を扱っている。専門店は,消費者の購買余力が高まりニーズが多様化するにしたがって,顧客の個性に対応した商品を提供することができなければならない。そのために専門店にとって顧客管理の仕事が重要である。専門店の顧客は,その店に対してサービス,品ぞろえ,品質,技術,情報,店の雰囲気など,なんらかの理由で愛顧心をもっており,たとえ遠くの街の専門店であっても抵抗なく買物に出かける傾向が強い。それゆえ個々の顧客の必要が生ずる時期に必要な情報を提供することが,よりいっそう顧客の忠誠を高める結果となる。専門店は通常,交通の便の良い中心商店街に比較的小規模で独立した店舗をもつ場合が多いが,デパートやスーパーにテナントとして出店したり,専門店ビルのように大規模でバランスの良い売場配置を構成している共同店舗もある。また専門店チェーンを展開し,より大きな市場を獲得する方法もみられる。専門店は生活様式の個性化と多様化の波に乗って,ますます用途別,客層別,メーカー(ブランド)別に細分化され,顧客の要望に応じて加工やオリジナル商品の開発に力を注ぎ,激しい競争を展開している。
執筆者:川嶋 行彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
取扱い商品の種類を限定し、個性的商品をそろえ、専門的知識による顧客への助言とサービスによって、広範な商品選択の機会とショッピングの満足を与える小売店をいう。これらの条件を満たすうえから、商品は洋服、家具、楽器、宝石など買回品(かいまわりひん)および専門品が中心になる。消費者の所得水準の向上、欲求内容の多様化・個性化、買い物情報の増大に適合する小売店形態として、ますます多くなっていく傾向にあり、チェーン展開の専門店も現れている。
[森本三男]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
… 生産者が製造した商品を最終的に消費者に販売するのが小売であるが,現実には製造される商品の種類は多数であり,またその品質や内容も多岐にわたるため,この小売機能を十分に果たすためには種々の異なる形態の小売形態が必要となる。たとえば最寄店は食料品,医薬品,日用雑貨のような日常生活の必需品の小売機能を担当し,買回り店は装飾品,家具,家電製品のように消費者がその品質や価格をそのたびごとに比較して購入する商品の小売機能を,専門店は貴金属,宝石,特殊な趣味品あるいは一部のスポーツ用品などのように品質の限定された高級品の小売機能を担当している。また店舗の営業形態によっても担当される小売機能は分化されており,百貨店は主として中級品から高級品にいたる幅の広い価格の商品をあらゆる種類にわたって販売するという小売機能を,大型スーパーは中級品を主体とした標準化商品を,ディスカウント・ストアは大量生産された低価格商品の量販という機能を,さらにスーパーマーケットは食料品を主体とした小売機能を,チェーン・ストアは商品部門を限定した各種商品の小売機能をというように,各地域,人々の所得,人口差に合わせた多様な店舗が展開されて,それぞれの小売機能を果たしている。…
※「専門店」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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