日本大百科全書(ニッポニカ) 「小倉伸吉」の意味・わかりやすい解説
小倉伸吉
おぐらしんきち
(1884―1936)
海軍技師、海洋物理学者。仙台に生まれ、1908年(明治41)東京帝国大学理科大学卒業。長く海軍の水路部にあって潮汐(ちょうせき)の調査研究に従事、日本近海の潮汐の総合的な解明と厳密な記述を行った。1930年(昭和5)「瀬戸内海の潮流及び潮汐に関する研究」で帝国学士院賞受賞。のち、動力学的数値計算法により東シナ海、渤海(ぼっかい)、黄海、オホーツク海などの潮汐も調査した。主著に『潮汐』(岩波全書)、『潮汐に関する吾人の知識』(岩波講座・物理学)、『日本近海ノ潮汐』(水路部)などがある。日本近海の潮汐についての知見は今日でも彼に負うところが大きい。
[半澤正男]