小枝繁(読み)さえだ・しげる

朝日日本歴史人物事典 「小枝繁」の解説

小枝繁

生年生没年不詳
江戸時代の読本作者。通称露木七郎次。生没年についてはさまざまな説があるが,特定できない。幕臣であったが,のちに水戸家御主殿付となり,江戸に住んだ。文化2(1805)年刊の処女作『絵本東嫩錦』は,山東京伝の『復讐奇談安積沼』の影響が指摘され,その後,曲亭馬琴浄瑠璃に材を求めて評判をとると,『催馬楽奇談』(1811)のように,同じく浄瑠璃種の巷談物読本を数作著した。また一方,馬琴や京伝が軍記物や長編勧化本を利用する方法を用いると,同じ方法で,伝説物読本である『松王物語』(1812)や,史伝物読本の『小栗外伝』(1813~15)などを書くなど,そのときの流行に応じて,化政期(1804~30)に20冊近くの読本を著している。

(樫澤葉子)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「小枝繁」の解説

小枝繁 さえだ-しげる

1741-1832 江戸時代後期の戯作(げさく)者。
寛保(かんぽう)元年生まれ。幕臣。常陸(ひたち)水戸家御主殿付となり,江戸にすんだ。戯作のおおくは読み本で,「小栗外伝」「景清外伝」など20冊あまりをかいた。天保(てんぽう)3年4月19日死去。92歳。姓は露木。通称は七郎次。別号に絳山樵夫,歠醨(せつり)陳人

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