映画監督。昭和20年10月29日、群馬県前橋市朝日町に生まれる。1968年(昭和43)、早稲田(わせだ)大学第二文学部演劇専修を卒業。フリーの助監督として篠田正浩(しのだまさひろ)、浦山桐郎(うらやまきりお)の下で修業する。1981年に『泥の河』で監督デビュー。この作品が自主上映で評判になり、多くの賞を得て国際的にも知られた。以後、極端に寡作ながら一作一作が映像の表現力探究の熱意にあふれた作品として注目された。第2作は『伽倻子(かやこ)のために』(1984)。第3作の『死の棘(とげ)』(1990)は第43回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞する。第4作の『眠る男』(1996)は群馬県の人口400万人記念映画として県の出資でつくられたが、およそ商業映画の常識をかなぐり捨てた純粋に芸術的な実験を試みた美しい作品となった。美しい風景と美しい情操と好ましい人々の姿だけでできた映画である。第5作は『埋れ木』(2005)で、第58回カンヌ国際映画祭で上映された。
[佐藤忠男]
泥の河(1981)
伽倻子のために(1984)
死の棘(1990)
眠る男(1996)
埋もれ木(2005)
『小栗康平著『見ること、在ること』(1996・平凡社)』▽『小栗康平著『映画を見る眼』(2005・日本放送出版協会)』▽『小栗康平著『時間をほどく』(2006・朝日新聞社)』▽『小栗康平著『人格解離――わたしの中のマイナスな私』(2011・アールズ出版)』▽『小栗康平著『哀切と痛切』(平凡社ライブラリー)』
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