小簾の戸(読み)こすのと

日本大百科全書(ニッポニカ) 「小簾の戸」の意味・わかりやすい解説

小簾の戸
こすのと

地歌(じうた)の曲名。端歌物(はうたもの)。本調子。作者については、『歌曲時習考』の目録に「作詞歌妓(かぎ)首のぶ。作調・峰崎勾当(こうとう)」とある。「首のぶ」とは、大坂島之内(しまのうち)の芸妓(げいぎ)のぶの渾名(あだな)で、その首が艶冶(えんや)であることからこうよばれた。曲亭馬琴(きょくていばきん)の『羈旅漫録(きりょまんろく)』の「首信(くびのぶ)が伝」に詳しく、西沢一鳳(いっぽう)の『皇都午睡(ごすい)』、浜松歌国の『南水漫遊』などにも紹介されている。曲は艶麗で思わせぶりな色気にあふれ、「月やはもののやるせなき」あたりの作曲には、滋味に富んだ渋い手がつけられている。

[林喜代弘]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

発見学習

発見という行為の習得を目指す学習。または,発見という行為を通じて学習内容を習得することを目指す学習。発見学習への着想は多くの教育理論に認められるが,一般には,ジェローム・S.ブルーナーが『教育の過程』...

発見学習の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android