山林(読み)サンリン

デジタル大辞泉 「山林」の意味・読み・例文・類語

さん‐りん【山林】

山と林。また、山にある林。
地目の一。樹木の多く生えている山地。「山林を切り開く」「山林地主」
[類語]木立森林密林ジャングル雑木林林野樹海樹林保安林防風林防雪林砂防林防砂林原生林原始林熱帯雨林熱帯降雨林熱帯林温帯林寒帯林紅樹林マングローブ広葉樹林針葉樹林落葉樹林照葉樹林松林杉林梅林竹林

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「山林」の意味・読み・例文・類語

さん‐りん【山林】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 山と林。また、山中の林。樹木の多く生えている山。森林。
    1. [初出の実例]「応制斫損水辺山林事〈略〉川上山林任意伐採」(出典類聚三代格‐一九・弘仁一二年(821)四月二一日)
    2. 「王山林に出でて遊ぶ。王子皆侍らふ」(出典:観智院本三宝絵(984)上)
    3. [その他の文献]〔孟子‐梁恵王・上〕
  3. 観相で、こめかみの前上部の角ばっている部分をいう。

やま‐はやし【山林】

  1. 〘 名詞 〙 山と林。山や林。さんりん
    1. [初出の実例]「此の事許されずば、山はやしにまじりて、おほやけにも仕うまつらじ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲下)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「山林」の意味・わかりやすい解説

山林 (さんりん)

山と林,樹木の多く生えている山。山林に入り,不自由を耐えて仏道の修行に励むことを〈山林斗藪(とそう)〉といったが,山林は聖地であり,アジールとしての性格を持っていた。平安末期から中世を通じて,領主の非法,横暴に抵抗して逃散ちようさん)する百姓たちは,〈山林に交わる〉〈山野に交わる〉といって実際に山林にこもっており,山林は逃亡する下人・所従の駆け入る場でもあった。戦国時代になると〈延命寺へ山林申候〉〈悪党以下,山林と号して走り入る〉〈女山林〉などのように,〈山林〉という語それ自体が,アジール的な寺院へ駆けこむ行為を意味するようになるとともに,百姓たちが家や田畠に篠(ささ)を懸け,そこを〈山林不入の地と号し〉,領主が立ち入れないようにしたことから見て,アジールとしての性格を持つ寺院や聖域そのものも〈山林〉といわれたのである。近世になると〈山林に交わる〉という言葉はしだいに,〈山に上る〉〈山に登る〉から〈山上り〉という表現になっていく。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「山林」の意味・わかりやすい解説

山林
さんりん
forest

一般に森林と同じ意味に使われるが,平地林を除いて山岳林に限る場合もある。高木が群生している状態で,並び立った樹木の樹冠 (クローネ) が,枝を交えて林冠と呼ばれる一つの層をつくっている (この状態を閉鎖とか鬱閉という) 。山林には各種の分類方法があり,所有権のうえから国有林,民有林 (公有林私有林 ) ,造林の観点から人工林,天然林 (原始林,天然生林) ,樹種により針葉樹林,広葉樹林,利用目的によって,林産物 (特に木材生産) 利用のための経済林 (→用材林 , 薪炭林 ) ,公益的機能のための風致林,防災林 (海岸防風林水源涵養林,なだれ防止林など) に分けられる。日本の森林総面積は約 2521万 2000haで,国有林 31%,公有林 11%,私有林 58%。天然林 54%,人工林 41% (1990) ,その他5%となっている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

普及版 字通 「山林」の読み・字形・画数・意味

【山林】さんりん

山や林。〔礼記、月令〕(仲春の月)是のや、川澤を竭(つく)すこと毋(な)く、陂池(ひち)を漉(つく)すこと毋く、山林を焚(や)くこと毋(なか)らしむ。天子乃ち羔(かう)を獻じ、冰を開き、先づ寢め、~釋(せきさい)す。

字通「山」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

林業関連用語 「山林」の解説

山林

用材、薪炭材、竹材、その他の林産物の生産を行う樹木及び竹を集団的に生育させるために用いる土地をいい、立木地のほか、伐採地も含む不動産登記法上の地目分類のひとつである。
ただし、2000年農林業センサスでは、実際の状態で、土地の種類を見分けることから、台帳地目にかかわらず現況が山林ならば山林とし、樹木が生えていても樹園地及び庭園は山林から除いた。

出典 農林水産省林業関連用語について 情報

世界大百科事典(旧版)内の山林の言及

【逃散】より

…逃散する農民は,通常領主に対し年貢の未進,出挙(すいこ)による負債をおっており,領主はその債務をつぐなわせるために,逃散したものの家・田畠などを没収するとともに,その本人を身代(みのしろ)としてとるために追求したのである。そのため逃散農民は,まずアジールとして存在した山林へ逃げ込んだのであり,そのため当時逃散のことを〈山林に交わる〉〈山野に入る〉と称したのである。やがて農民はこの手段を拡大させ,逃散中の家屋敷・田畠のまわり,さらには村落・荘園の入口などを篠(ささ)や柴でおおい,その場所を山林不入地としてしまう〈篠を引く〉〈柴を引く〉と称する作法を形成し,領主側の役人が強制執行することを拒んだのである。…

【百姓林】より

…百姓山,百姓持山,百姓控林,百姓抱山ともいう。いずれも近世農民の占有に属した山林で,その多くは居屋敷続きまたは控え田畑などの周辺に点在した。大部分は自家の植栽・買得にかかるもの,数代にわたって私有した実績のある山林であるが,村持山の分割によって取得した百姓山も少なくなかった。…

※「山林」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android