精選版 日本国語大辞典 「山水」の意味・読み・例文・類語
さん‐すい【山水】
やま‐みず ‥みづ【山水】
せん‐すい【山水】
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山水は自然のかたちであり自然そのものである。唐末に風景という用語もあるが,それは風と光とを意味し,中国人は自然をそこまで非実体化し抽象化することはなかった。《山海経(せんがいきよう)》は山々に神々が住むことをいうが,竜身,蛇身,魚身の神々も多く,山神であると同時に水神でもあろう。神話的世界の神としては洪水神が最も古いが,夏系の鯀(こん)や禹が魚身から熊に変じて治水を行ったとか,竜身の共工という洪水神をもつ羌(きよう)族は嵩(すう)岳を祖神とするといったように山神・水神は対をなしているようで,苗系の女媧(じよか)・伏羲(ふくぎ)の説話のように破壊と復活を意味し,山水は神と帝,聖と俗といった観念でとらえられていたかもしれない。孔子が〈知者は水を楽しみ,仁者は山を楽しむ。知者は動き,仁者は静かなり〉というとき,山を本体とし水をその働きとするような古代的自然観を述べているのではないだろうか。
かくて山水は世界構成の根幹として世界観の変遷とともにその意義を変じた。殷の奉じたらしい太陽神,周の奉じた天によって神話の神々がその光芒を失ってくると,四岳とか五岳といった世界構成的山岳観があらわれ,天地的世界観,古帝王の系譜,西方世界への夢をのせて崑崙山があらわれ,これは祖霊の帰るところとして楚墓や漢墓の帛画(はくが)や漆画に関係づけられる。漢の博山炉もこのようなイメージの系譜につながるであろう。古い神話的イメージは老荘の思想や説話の中にある程度保存されているが,老荘の哲学が流行した東晋には,顧愷之(こがいし)が〈雲台山記〉で三山構成の霊山表現を示した。次いで南朝の宋に入って老荘の哲学が退潮し,その母体となった山水が文学的に豊かに表現されると,宗炳(そうへい)が〈画山水記〉で神仙の眼を借りた写実的な山水表現の方法を示した。唐になると旅行の山水(蜀道山水)が,宋には居住山水(胸中丘壑)が,それぞれ中世末と近世の自然観を示している。しかし《林泉高致》にもなお共工が地を傾けた神話や盤古の屍体化生説話の余映がみられ,山水における実体的志向を支えている。
執筆者:山岡 泰造
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※「山水」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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