山田右衛門作(読み)やまだえもさく

改訂新版 世界大百科事典 「山田右衛門作」の意味・わかりやすい解説

山田右衛門作 (やまだえもさく)

江戸初期の絵師生没年不詳。恵茂作,右衛門佐ともあり,島原の乱の籠城者のうちただ一人〈返忠〉により助命された。その〈口書〉は一揆側の情勢や助命の経緯を詳述するが,一概には信じられない。また〈四郎指物〉なる聖旗は彼が描いたとされるが,かつてのキリシタン行列の旗という説もある。乱後,松平信綱のもとで絵業とキリシタン目明を務め,1655年(明暦1)ころ80歳余で,長崎または江戸で没した。
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朝日日本歴史人物事典 「山田右衛門作」の解説

山田右衛門作

生年:生没年不詳
江戸前期の南蛮絵師。「えもさく」ともいう。出自,経歴不明。島原の領主有馬氏譜代の臣で,棄教した有馬直純の日向(宮崎県)転封後,新たに島原に入部した松倉氏に絵師として仕えたらしい。寛永14(1637)年,島原の乱が勃発すると,妻子人質にとられるなど強制されて一揆に参加,原城に籠城。出陣した旧主有馬氏の陣に内通し,これが発覚して城中に幽閉される。落城のときに救出され,その後,鎮圧に当たった松平信綱に連れられ江戸に行き,信綱の邸内に住む。晩年については不明。右衛門作の作品として確認されるものはないが,島原の乱の城中旗「聖体讃仰天使図旗」(天草本渡キリシタン館保管)は右衛門作または門下の作といわれる。

(村井早苗)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「山田右衛門作」の意味・わかりやすい解説

山田右衛門作
やまだえもさく

江戸時代初期の洋風画家。伝記や画歴は不明な点が多い。長崎近傍に育ち幼くして耶蘇会の修学寮で西洋画法を修得,寛永 14 (1637) 年島原の乱で反乱軍の部将をつとめた。落城後は松平信綱によって江戸へ招致され,キリシタン目明しとなり犯人刑罰の模様などを洋風画法で描写。のち再びキリシタン信仰を教布して終身禁錮刑となったが,晩年許されて長崎へ帰り,明暦1 (55) 年八十余歳で没したと伝えられる。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「山田右衛門作」の解説

山田右衛門作 やまだ-えもさく

?-1655? 江戸時代前期のキリシタン,画家。
島原の乱で原城にこもるが,幕府方に通じたといわれる。落城後ひとりゆるされ,古庵また祐庵と称して江戸で余生をおくった。天草四郎の陣中旗「聖体讃仰天使図」の作者とされる。明暦元年?死去。名は「うえもんさく」「よもさく」ともよむ。

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