山背大兄王(やましろのおおえのおう)(読み)やましろのおおえのおう

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

山背大兄王(やましろのおおえのおう)
やましろのおおえのおう
(?―643)

厩戸(うまやど)皇子聖徳太子)の子。母は蘇我馬子(そがのうまこ)の娘、刀自古郎女(とじこのいらつめ)。推古(すいこ)女帝死後の皇位継承の有力資格者の一人であったが、蘇我蝦夷(えみし)が田村皇子(舒明(じょめい)天皇)を推したため対立することになる。蘇我一族の境部摩理勢(さかいべのまりせ)の援助があったものの、摩理勢が討たれ孤立する。その後、舒明天皇と馬子の娘、法提(ほて)郎女との間に生まれた古人(ふるひと)皇子を皇極天皇の後にたてようと謀った蘇我入鹿(いるか)によって、643年(皇極天皇2)に襲われ、一時生駒(いこま)山に逃れたが、斑鳩(いかるが)寺にこもり、妻子とともに自殺した。自殺に至る経緯は『日本書紀』編者潤飾が目だち、単純に信用しがたい。聖徳太子の遺子を賛仰することで、その遺子を殺した入鹿ならびに蘇我本宗家の滅亡を必然的なものとする編者の意図から出たものと考えられよう。

[荒木敏夫]

『門脇禎二著『大化改新』(1969・徳間書店)』

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