岐の神(読み)チマタノカミ

デジタル大辞泉 「岐の神」の意味・読み・例文・類語

ちまた‐の‐かみ【岐の神/×衢の神】

道の分岐点を守り邪霊の侵入を阻止する神。また、旅人の安全を守護する神。道祖神。さえのかみ。
天孫降臨のとき、天の八衢やちまたに出迎えて先導したというところから》猿田彦神さるだひこのかみ異称

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「岐の神」の意味・読み・例文・類語

くなど【岐】 の 神(かみ)

道の分かれるところに立って種々の禍災をしりぞけ、旅人の安全をはかるという道路の神。ふなとのかみ。ちまたのかみ。さえのかみ。道祖神(どうそじん)。くなど。
書紀(720)神代上(兼方本訓)「『此(これ)(よ)り莫過(なすぎそ)』とのたまひて即ち、其の杖を投げたまふ。是を岐神(クナトノカミ)と謂ふ」
[補注]挙例の「書紀‐神代上(兼方本訓)」や、「古事記‐上」に「故、投げ棄つる御杖に成れる神の名は、衝立船戸神」とあるように、この神は杖との結びつきが深い。この杖の神の生成譚は風土記の地名起源説話にも多く見られる、土地占有の標示物として立てられた杖の神格化であると思われる。

ちまた【岐】 の 神(かみ)

① 道の分岐点を守って邪霊の侵入を阻止する神。転じて、道を守って旅人の安全を守る神。道祖神。さえのかみ。
※古事記(712)上「次に投げ棄つる御褌(みはかま)に成れる神の名は、道俣神(ちまたのかみ)
② (天孫降臨のとき天の八衢にいて、そこから天孫先導の役をしたところから) 猿田彦神をさす。
※書紀(720)神代下(丹鶴本訓)「衢(チマタ)神天鈿女に問て曰く」

ふなと【岐】 の 神(かみ)

道の分かれるところで守っている神。道の分岐点は村などの境界でもあったので、境界内にはいろうとする種々の禍災を退け、また、旅人の安全を図ると信じられた道路の神。道祖神。くなどのかみ。ちまたのかみ。さえのかみ。
※書紀(720)神代上「岐神、此をば、布那斗能加微(フナトノカミ)と云ふ」

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