知恵蔵 「島倉千代子」の解説
島倉千代子
54年第5回コロムビア歌謡コンクールに出場し「涙のグラス」を歌って優勝。日本コロムビア事務所の専属となる。55年に「この世の花」でデビュー。同曲が大ヒットとなり、人気歌手となる。以降も57年の「東京だョおっ母さん」、58年の「からたち日記」などヒット曲を続けて発表。89年の「人生いろいろ」は約130万枚を売り上げ、京浜急行電鉄青物横丁駅の電車接近メロディーにも採用された。
NHK紅白歌合戦には、57年の初出場以来、2004年まで35回出場した。これまでの歌手人生で歌った曲は1500曲以上にもなる。
1968年、75年日本レコード大賞特別賞、88年日本レコード大賞最優秀歌唱賞など受賞多数。また、「人生いろいろ」は87年日本レコード大賞作詞賞、87年日本作詩大賞を受賞した。その他、98年日本ジュエリーベストドレッサー賞、99年ベストジーニスト賞を受賞。99年には、秋の紫綬褒章を受章した。
63年、当時阪神タイガースに所属していたプロ野球選手、藤本勝巳と結婚するが、68年に離婚。その後も、知人の10億円以上の借金の肩代わり、闘病など、波乱の人生を送った。93年に乳がんで手術を受け、治療の後遺症で声が出なくなるが、根気よくトレーニングを続け復帰。しかし2010年には肝臓がんを発症し、入退院を繰り返し、13年11月8日に死去。享年75。
14年がデビュー60年の節目に当たるため、13年12月に新曲「からたちの小径」を発売。この曲は南こうせつ氏に作曲を依頼したもの。亡くなる3日前に島倉本人の求めにより、急きょ自宅スタジオで録音された。発売週に2万2千枚を売り上げ、12月30日付けのオリコン週間シングルランキングで7位を獲得。これまでの最高位は「人生いろいろ」で獲得した16位だったが、大きく記録を更新し、演歌・歌謡ランキングでは首位となった。
(富岡亜紀子 ライター / 2014年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報