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長崎県南東部に突出する半島。行政上は島原市、南島原市、雲仙市(うんぜんし)からなる。大部分が雲仙火山群から成り立ち、南部に南島原台地を伴い、その輪郭は楕円(だえん)形を示すが、西側に橘(たちばな)湾の陥没カルデラがあって、楕円形の一部が欠けている。地形的には東側の島原湾側では、緩やかな火山性扇状地が海中にまで延びて、砂質の海岸が発達し、西側では火山群が断層によって切られ、岩石海岸の地形に富む。雲仙火山群には東西方向の断層が発達し、その顕著なものとして、北に千々石(ちぢわ)断層線、南に金浜布津(ふつ)断層線があげられ、これらの断層線の間に雲仙地溝帯がある。この地溝帯に絹笠(きぬがさ)火山群、九千部(くせんぶ)火山群、雲仙(温泉)火山群が噴出している。これら三つの火山群の接触する部分に帯山(おびやま)爆裂口があり、盆地状の雲仙温泉が形成されている。
雲仙火山は活火山で、1657年(明暦3)普賢岳(ふげんだけ)(1359メートル)の北側に古焼(ふるやけ)溶岩流が噴出し、1792年(寛政4)新焼溶岩流の噴出とともに眉山(まゆやま)の大崩壊がおこり、山体は裂けて噴出した熱水とともに大地すべりを発生している。火山群は、標高300メートル以上では数峰の溶岩円頂丘をなし、標高300メートル以下では緩やかな火山性扇状地をなし、北部に愛野、吾妻(あづま)、国見、有明(ありあけ)、東部に島原、深江、有家(ありえ)、南部に塔ノ坂の各扇状地がある。西部には小浜(おばま)断層があって扇状地を欠き、海岸に小浜温泉がある。扇状地上の土地利用は、牧牛や酪農の進展のほかに、ジャガイモ作付けの増大と畑地転換や開墾によるミカン園の増大とが特徴的である。飛子(とびこ)―有馬線以南の南島原台地は、第三紀層上に噴出した玄武岩の溶岩台地で、彦山(ひこさん)周辺の台地面は保存が良好であるが、上原台地はメサ状、鳳上(ほうじょう)岳・愛宕山(あたごさん)はビュート状をなす。これらの台地と山腹の第三紀層との境界には湧水(ゆうすい)が多く、棚田が発達するが、地すべりの多発地帯をもなす。海岸は、東岸では砂礫(されき)海岸、南岸および西岸では岩石海岸をなし、東岸ではノリ、ワカメの養殖が盛んである。南岸および西岸では一本釣り、延縄(はえなわ)漁業を主とする。
[石井泰義]
『林銑吉著『島原半島史』上中下(1954・長崎県南高来郡教育会)』▽『島原史談会編『島原半島の古代文化――概説と年表』(1962・島鉄観光社)』▽『『緑と太陽の地 島原半島』(1970・長崎県市町村自治振興会)』
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長崎県南東部に位置する半島。島原市,南島原市,雲仙市の全域を占める。北と東は島原湾,南は早崎瀬戸,西は橘湾に面し,わずかに北西部で幅約3kmの愛野地峡により肥前半島主部と陸続きとなっている。半島中央部は普賢岳(1359m)を主峰とする雲仙岳の火山群からなる。北および東麓には緩やかな火山性扇状地が広がり,海岸は砂礫海岸をなすが,半島西岸は断層による陥没ですそ野を欠き,岩石海岸をなす。また南部は玄武岩などからなる火山性台地で地すべりの多発地帯でもある。台地斜面には棚田が発達して,扇状地や台地上では,ジャガイモ,タバコ,ミカンなどが栽培されている。島原湾に面した東部および北部の漁村ではワカメやノリの養殖が盛んであるが,西海岸ではカタクチイワシの水揚げが多い。また,南東部では南島原市須川を中心に,家内工業的に手延べそうめんが生産されている。1637年(寛永14)の島原の乱で半島の多くの村が廃村となり,その後各藩からの移民が行われたため,半島各地の風俗・習慣は多様である。1934年雲仙岳を中心に,雲仙,小浜,島原などの温泉,原城など島原の乱にまつわる史跡を含め,日本最初の国立公園(雲仙天草国立公園)に指定された。
執筆者:竹内 清文
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…対馬,壱岐,五島列島などの島嶼が県の総面積の45%を占め,常住者のいる島は80,いない島は490を数える。本土側は北松浦半島,肥前半島,西彼杵半島,長崎半島,島原半島が,手の指のごとく分岐する。島嶼部,半島部はいずれも沈水性のリアス式海岸が発達し,湾入が著しい。…
※「島原半島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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