差入れ(読み)サシイレ

デジタル大辞泉 「差入れ」の意味・読み・例文・類語

さし‐いれ【差(し)入れ】

[名](スル)
中へ入れること。「差し入れ口」
刑務所拘置所警察留置施設に収容されている者に、外部から日用品などを届けること。また、その品。
慰労激励などのため、飲食物などを届けること。また、その物。「合宿中の後輩差し入れする」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「差入れ」の意味・わかりやすい解説

差入れ
さしいれ

法律上は、刑事施設に収容されている被収容者に交付するために、外部の者(差入人)が現金および物品持参、または送付すること(刑事収容施設法44条3号)。被収容者に貸与するためでもよい。刑事収容施設法によれば、刑事施設の長は差入れについて刑事施設の管理運営上必要な制限を加えることができるとされ、これを受けて法務省令は制限の内容を定める(刑事収容施設法51条、刑事施設及び被収容者の処遇に関する規則21条)。差入人の範囲に特別な制限はないが、事故防止の必要上、差入人の氏名生年月日・住所・電話番号・職業、交付の相手方である被収容者の氏名・その者との関係、交付しようとする現金の額または物品の品名数量を記載した申出書の提出が求められる(刑事施設及び被収容者の処遇に関する規則18条)うえに、差入れ物について厳しい検査が行われる(刑事収容施設法44条)。差入れと区別すべきものに自弁がある。自弁とは、被収容者自身が、領置されている自分の金銭で飲食物などを購入することをいう(同法41条)。なお、刑事施設の長は、差入れ金品が、(1)被収容者に交付することにより、刑事施設の規律および秩序を害するおそれがあるものであるとき、(2)交付の相手方が受刑者であり、かつ、差入人が親族以外の者である場合において、その受刑者に交付することにより、その矯正処遇の適切な実施に支障を生ずるおそれがあるものであるとき、(3)交付の相手方が未決拘禁者である場合において、刑事訴訟法の定めるところによりその者が交付を受けることが許されない物品であるとき、(4)差入人の氏名が明らかでないものであるとき、(5)自弁により使用し、もしくは摂取することができることとされる物品または釈放の際に必要と認められる物品以外の物品であるとき、(6)保管に不便なものであるとき、(7)腐敗し、または滅失するおそれがあるものであるとき、(8)危険を生ずるおそれがあるものであるとき、以上の(1)~(8)の場合には、差入人に対し、その引取りを求めることができる(同法46条第1項)。

[石川正興]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「差入れ」の意味・わかりやすい解説

差入れ
さしいれ

拘置所留置場刑務所などに収容されている被疑者,被告人,受刑者に対し,法令に定める手続と範囲内で書籍,糧食,金銭などを送付することをいう。差入れ手続や差入れ金品の内容は,被疑者,被告人,受刑者のいずれかによって異なる。差入れについては刑事訴訟法 39条,80~81条,監獄法 53条および監獄法施行規則 142~144条による制限があり,いずれも施設内事故の予防措置が講じられている。留置場などに関する糧食の差入れについては,専門の業者に依頼されるのが通常である。

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