常滑(読み)トコナメ

デジタル大辞泉 「常滑」の意味・読み・例文・類語

とこなめ【常滑】[地名]

愛知県知多半島西岸にある市。常滑焼で知られる陶磁器産地中部国際空港がある。人口5.5万(2010)。

とこ‐なめ【常滑】

川床の岩などに水苔がついて、いつもなめらかであること。また、その場所
「見れど飽かぬ吉野の川の―の絶ゆる事なくまたかへり見む」〈・三七〉

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精選版 日本国語大辞典 「常滑」の意味・読み・例文・類語

とこ‐なめ【常滑】

[1] 〘名〙
① 流れのある水底の石などに水ごけが付き、いつもなめらかですべりやすくなっているところ。一説に、そこに付着している水ごけの類。
万葉(8C後)一・三七「見れど飽かぬ吉野の河の常滑(とこなめ)の絶ゆることなくまた還り見む」
河床のたいらな岩の上で、少しの水が静かに流れているところ。
[2] 愛知県南西部の地名。知多半島中部の西岸にあり、伊勢湾に面する。良質の陶土を産し、常滑焼を特産する。昭和二九年(一九五四市制

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改訂新版 世界大百科事典 「常滑」の意味・わかりやすい解説

常滑[市] (とこなめ)

愛知県西部,知多半島の西岸中央部にあって伊勢湾に面する窯業都市。1954年常滑,鬼崎,西浦,大野の4町と三和村が合体,市制。人口5万4858(2010)。長い常滑焼の歴史を物語る常滑古窯跡群が丘陵部にあり,陶器生産用具および製品1655点が国の重要民俗資料に指定されている。近世後期に朱泥,陶管が特産として登場し,その後,衛生陶器,タイル,置物玩具なども生産され,窯業が市の中心産業となっており,市立陶芸研究所,県窯業技術センター(現,愛知県産業技術研究所常滑窯業技術センター),陶磁器会館がある。窯業と並んで栄えた伝統産業として酒造を中心とした食料品製造業,知多木綿の生産をもとに発展した繊維工業がある。市北端の大野は中世以来の港町で,近世には廻船問屋があり,酒,木綿などを積み出した。東部の丘陵地には愛知用水が走り,それを利用した米作,野菜・果樹・花卉栽培が行われる。伊勢湾内有数の漁業地でもあり,近年は特にノリの養殖が盛ん。名鉄常滑線,国道247号線が通じ,名古屋との交通の便がよいため通勤者も多い。常滑競艇場や坂井温泉がある。2005年に市の沖合に中部国際空港が開港し,常滑駅からの名鉄空港線も開業した。
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世界大百科事典(旧版)内の常滑の言及

【尾張国】より

… 産業面では,中世における最大の窯業地の中心が尾張であった。瀬戸では美濃とともに当時唯一の施釉陶器の産地として宗教用具や高級日用具を,常滑(とこなめ)では無釉の日用具を産した。現在瀬戸では500以上,常滑では1300以上の中世窯跡が確認されており,その製品は全国的に市場をもっていたことが,各地の発掘調査から知られている。…

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