帽子(もうす)(読み)もうす

日本大百科全書(ニッポニカ) 「帽子(もうす)」の意味・わかりやすい解説

帽子(もうす)
もうす

僧の頭を包むもの。「もうす」は禅宗呼称真言宗浄土宗では、「ぼうし」と称する。頭巾(ときん)、頭袖(とうちゅう)、禅巾(ぜんきん)などともいう。『四分律(しぶんりつ)』巻40によると、寒いとき、比丘(びく)が、頭が冷えて痛みを訴えたため、仏は頭を包む帽子(綿か毛でつくる)を許した。したがって、僧服の威儀を整えるためのものでなく、耐寒のためであった。

 中国では、斉(せい)の武帝に迎えられた宝誌(ほうし)が最初につけたことから、誌公帽子(しこうもうす)といわれ、これは立(たて)帽子や角(かく)帽子をいう。また、廬山(ろざん)の慧遠(えおん)が請雨のとき、布に水の字を書いてかぶったところから名づけられた水冠(すいかん)があり、これは横(よこ)帽子といわれる。僧が帽子をつけることは唐代より制定されたが、これは、俗人が冠(かん)をつけるのに準じた習慣によるもので、宋(そう)代の禅宗において盛んに用いられた。日本では、平安時代から制定されていたようで、僧階により金襴(きんらん)などでつくられた。現在では、法要のとき導師が着用する。また、外出の際にかぶる不老帽、茶人帽なども帽子の一種である。

[川口高風]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android