平均(読み)ヘイキン(英語表記)mean

翻訳|mean

デジタル大辞泉 「平均」の意味・読み・例文・類語

へい‐きん【平均】

[名](スル)《古くは「へいぎん」とも》
大小・多少などの差が少なく、そろっていること。また、そうすること。ならすこと。「年間を通じて売り上げが平均している」
いくつかの数や量の中間的な値を求めること。また、その数値。それらの和をその個数で割る相加平均をいうことが多いが、ほかに相乗平均調和平均などがある。「平均を上回る」「一日平均乗降客数」「年平均気温」
ほどよくつりあうこと。均衡。平衡。バランス。「平均のとれたからだ」「平均を保つ」
平定すること。統一すること。
「大明、韃靼を―し」〈浄・国性爺
[類語](1)(2均等均分等分平準標準アベレージ(―する)なら押し均す揃う/(3平衡均衡衡平つりあいバランス均整兼ね合い

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精選版 日本国語大辞典 「平均」の意味・読み・例文・類語

へい‐きん【平均】

  1. 〘 名詞 〙 ( 古くは「へいぎん」とも )
  2. 平らかで等しいこと。不同のないこと。また、不同のないようにすること。等しくすること。均一にすること。ならすこと。平等。
    1. [初出の実例]「努力努力猶努力、明々天子恰平均」(出典:菅家文草(900頃)五・左金吾相公、於宣風坊臨水亭、餞別奥州刺史)
    2. 「クニヲ feiguinni(ヘイギンニ) ヲサムル」(出典日葡辞書(1603‐04))
    3. 「農の利と工商の利と互に平均する」(出典:文明論之概略(1875)〈福沢諭吉〉五)
    4. [その他の文献]〔詩経伝‐曹風・鳲鳩〕
  3. 平定すること。統一すること。
    1. [初出の実例]「諸国源氏平均可追伐之条者無其実。所限武衛許也」(出典:吾妻鏡‐養和元年(1181)三月七日)
  4. 常の状態とすること。病気などが平癒すること。
    1. [初出の実例]「此たびのみかどの御なふへいきんならしめ給へやと」(出典:浄瑠璃・清水観音利生物語(1681頃か)二)
  5. あれとこれがつり合うこと。均衡。つりあい。
    1. [初出の実例]「消費すると復生するとの間に平均(ヘイキン)を保つに非れば」(出典:新聞雑誌‐一四号・明治四年(1871)九月)
    2. 「心の平均を破る」(出典:吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉四)
  6. いくつかの数または量の中間の値を持つ数または量。平均値。また、それを求める演算。普通はいくつかの数または量の和をそれらの個数で割って得られる相加平均やその他の平均値をさすことが多い。中間の意味の取り方により、相乗平均、調和平均とよばれるものもある。
    1. [初出の実例]「三本平均の積にて買出したる桜の数二百六十本」(出典:滑稽本・古朽木(1780)三)
    2. 「一年の間に晴雨の日を平均して計れば」(出典:文明論之概略(1875)〈福沢諭吉〉二)

平均の補助注記

読みは、「文明本節用集」「日葡辞書」「書言字考節用集」にはヘイギンとある。しかし、幕末の「和英語林集成(初版)」や明治前期の「言海」にはヘイキンとあり、江戸時代後半にキは清音で読まれるようになったと思われる。

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改訂新版 世界大百科事典 「平均」の意味・わかりやすい解説

平均 (へいきん)
mean

平均値ともいう。数学および数理統計学で用いられる概念。相加平均を意味することが多い。n個の実数x1x2,……,xnが与えられているとき,

を,n個の実数の相加平均(または算術平均)という。

 数理統計学では,母集団から無作為にとり出したn個のデータX1X2,……,Xnの相加平均,標本平均という。

 (1)で考えたn個の実数x1x2,……,xnの中に同一の数が重複してあらわれるとしよう。実数x1′がm1個,x2′がm2個,……,xn′がmn個含まれているとする(m1m2+……+mnn)。この場合,上記の相加平均(1)は,

に等しくなる。ここまではm1m2,……,mnは正の整数であったが,少し一般化し,m1m2,……,mnを正の実数として量(2)を考えることにしよう。(2)は,数x1′,x2′,……,xn′に重みm1m2,……,mnを与えたときの平均(値)である。この平均(値)は多方面であらわれる。x1′%の食塩水m1x2′%の食塩水m2,……,xn′%の食塩水mnをまぜてできる食塩水の食塩の濃度(%)は(2)式で与えられる。力学的にいえば,(2)は点x1′,x2′,……,xn′に質量m1m2,……,mnが存在する質点系の重心質量中心)の座標である。確率論でいえば,量(2)はx1′,x2′,……,xn′の値をとる確率が,それぞれ,

である離散的分布の平均(値)である。

 α≦x≦βの範囲の現象の起こる確率が積分で与えられる一次元連続的分布を考えよう。関数px)は確率密度関数と呼ばれる。この場合,(2)における足し算を積分で置き換えた量,

がこの一次元分布の平均である。これは,数直線上の微小な区間xx+⊿x)に質量px)・⊿xを与えたときの重心の座標でもある。確率変数Xの確率密度関数をpx)としよう。すなわち,fx)を実変数実数値関数とすると,fX)の平均(期待値)は,となる。これは関数fx)を重みpx)で平均したものである。

 抽象的空間Ωの上に確率P(全体を1とする重み)が与えられているとき,Ωの上で定義された実数値関数Xに対して,

XPで平均したものとなるように,ルベーグ積分を用いて定式化できる。確率変数Xの平均(期待値)EX)は(4)の形で数学的に定義される。

 n個の正の実数x1x2,……,xnに対して,を相乗平均,

を調和平均という。とすると,

となっている。ここでg1f1逆関数g2f2の逆関数である。

 これまで,一次元量の平均について述べてきたが,多次元量の平均も多方面で用いられている。初等幾何と関連する例から始めよう。△ABCが与えられたとき位置ベクトル(Oは△ABCと同一平面上の定点)の相加平均,は,△ABCの重心の位置ベクトルをあらわす。三次元空間の質点系の重心(質量中心)の座標も一次元のときと同様に議論できる。多次元確率分布の平均ベクトル,ベクトル値確率変数の平均(期待値)ベクトルも,しばしば用いられる概念である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「平均」の意味・わかりやすい解説

平均
へいきん
mean

幾何平均調和平均のような特殊なものもあるが,通常は加重平均およびその一般化をいう。 (p1p2,…,pn) の割合 (確率論の場合なら確率) で生じる x(1),x(2),…,x(n) があるとき,(p1p2+…+pn=1) であるから,E(x)=x(1)p1x(2)p2+…+x(n)pn が平均 (期待値ともいう) である。この分布が連続的に分布関数 f(x) で考えられているときは,
の形で平均が考えられる。平均については,(1) 線形性  E(c1x1c2x2)=c1E(x1)+c2E(x2) ,(2) 単調性  x1x2 なら E(x1)≦E(x2) のほかに,定数 c についての E(c)=c が基本的な法則になる。これから E(xE(x))=0 すなわち E(x) からの偏差 xE(x) はバランスしてちょうど0となる。

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百科事典マイペディア 「平均」の意味・わかりやすい解説

平均【へいきん】

相加平均相乗平均調和平均重みつき平均などがあり,統計では相加平均と重みつき平均を多く用いる。平均した結果得られた数値を平均値という。
→関連項目記述統計学メジアン

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ブランド用語集 「平均」の解説

平均

平均とはデータの中心位置を示す基本統計量のことをいう。個々の値を足し合わせてその個数で割った算術平均(相加平均)のほか、n個の正数の積のn乗根から得られる幾何平均(相乗平均)などいくつかの種類があるが、単に平均といえば算術平均を指すことが多い。

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普及版 字通 「平均」の読み・字形・画数・意味

【平均】へいきん

均一。

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