日本大百科全書(ニッポニカ) 「平畑静塔」の意味・わかりやすい解説
平畑静塔
ひらはたせいとう
(1905―1997)
俳人。和歌山県生まれ。本名富次郎(とみじろう)。京都帝国大学医学部卒業。三高在学中から『ホトトギス』『京鹿子(きょうかのこ)』『馬酔木(あしび)』に投句。1933年(昭和8)『京大俳句』創刊に加わり、新興俳句運動を推進。第二次世界大戦後は『天狼(てんろう)』に同人参加、男性的で剛直な句風をもち、63年宇都宮に移住。その後の作は北関東の風土に根ざした日本の原始時代の感性を表現して光彩を放つ。「俳人格」説など名論も多い。蛇笏(だこつ)賞、栃木県文化功労賞ほかを受賞。句集『月下の俘虜(ふりょ)』(1955)、『旅鶴(たびづる)』(1967)、『栃木集』(1971)、評論集『俳句とは何か』など。
[鷹羽狩行]
白壁に消えも入らずに毛糸編み
『『現代の俳句13 平畑静塔句集』(1985・白鳳社)』