年紀(読み)ネンキ

デジタル大辞泉 「年紀」の意味・読み・例文・類語

ねん‐き【年紀】

年。年数年代
年齢
「凡そ教師たる者、大抵―二十前後より三十左右を以てす」〈川井景一・横浜新誌〉
平安末期から中世にかけて、他人土地を一定期間継続して占有した場合にその占有権が認められる特定の経過年数。鎌倉幕府はこの期間を20年と定めた。年序

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精選版 日本国語大辞典 「年紀」の意味・読み・例文・類語

ねん‐き【年紀・年記】

  1. 〘 名詞 〙
  2. とし。年代。
    1. [初出の実例]「右案 年紀并所処及娘子屍作歌人名已見上也」(出典万葉集(8C後)三・四三七・左注)
    2. [その他の文献]〔史記‐晉世家〕
  3. 年齢。よわい。
    1. [初出の実例]「録進退如法臨敵振威、向冐万死、不一生之状、并姓名年紀居貫軍役之年」(出典:続日本紀‐天平元年(729)八月癸亥)
    2. 「其年紀を推すに南郭三十歳の左右なり、と君修語れり」(出典:随筆・文会雑記(1782)三)
    3. [その他の文献]〔後漢書‐光武紀〕
  4. ある時点から現在までの年月日
    1. [初出の実例]「於真言院奉仕御念誦、如御修法云々〈略〉年紀多隔、久不行」(出典:小右記‐永延二年(988)二月二七日)
    2. 「弘仁元年に、仲成を誅せられてより、帝皇二十六代、年記三百四十七年」(出典:保元物語(1220頃か)中)
  5. 平安末期から中世にかけて、不動産についての権利を取得し、または消失する特定の経過年月。とくに、鎌倉幕府は御成敗式目で、この期間を二〇年と定めたので、それ以後二〇か年をさすことが多い。年序。
    1. [初出の実例]「坊人知行年紀事、於引付之座問答之処、当別当押領之後十八箇年之由」(出典:中尊寺経蔵文書‐文永九年(1272)六月二三日・関東下知状)
  6. 中世、本銭返・本物返・年季売などの契約で、各々の条件によって成立した貸借関係がまだ清算されていない期間。
    1. [初出の実例]「本銭返并本銭不返、及年作等事、不年紀遠近、以本銭、可請取也」(出典:近衛家本追加‐文永五年(1268)七月一日)
  7. ねんき(年季)〔書言字考節用集(1717)〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「年紀」の意味・わかりやすい解説

年紀
ねんき

本来は「一定の年数」を意味するにすぎないが,平安時代においては外国よりの使節,商客の来航を制限する意味に用いられ,さらに中世においては,法律用語として,今日の時効に相当する意味に使用された。時効の意味に用いる場合にはこれを年序とも称する。時効としての年紀法は,中国法系の律令制においては認められず,その萌芽とみなしうるものが見出されるのは,平安末期の本所法においてである。しかし,本所法においては,いまだ具体的な年数が確定されず,それが法定されたのは鎌倉幕府法を初めとする。『御成敗式目』には,所領を知行 (占有) しない者は,20年を経過すれば,「理非ヲ論ゼズ」その土地上の権利を主張しえない,とみえる。また,奴婢,雑人についても 10年の時効が定められている。幕府法はその後弘安7 (1284) 年に利子付消費貸借の時効を定め,年紀を 10年としている。以上の武家法は,室町時代初期には,公家法に準用され,「三代占有に及ばざる不動産物権は,訴権を失う」という法理を生み,また債権については年紀 20年と定められている (東寺百合文書,貞和2年 12月 27日東寺政所定書案) 。江戸時代以降,不動産物権についての年紀法は,その姿を没するが,債権の訴権についての年序法は受継がれ,一般に債権については 20年,売掛金については 10年の年紀が定められている。

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普及版 字通 「年紀」の読み・字形・画数・意味

【年紀】ねんき

年数。

字通「年」の項目を見る

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