デジタル大辞泉
「年紀」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
年紀
ねんき
本来は「一定の年数」を意味するにすぎないが,平安時代においては外国よりの使節,商客の来航を制限する意味に用いられ,さらに中世においては,法律用語として,今日の時効に相当する意味に使用された。時効の意味に用いる場合にはこれを年序とも称する。時効としての年紀法は,中国法系の律令制においては認められず,その萌芽とみなしうるものが見出されるのは,平安末期の本所法においてである。しかし,本所法においては,いまだ具体的な年数が確定されず,それが法定されたのは鎌倉幕府法を初めとする。『御成敗式目』には,所領を知行 (占有) しない者は,20年を経過すれば,「理非ヲ論ゼズ」その土地上の権利を主張しえない,とみえる。また,奴婢,雑人についても 10年の時効が定められている。幕府法はその後弘安7 (1284) 年に利子付消費貸借の時効を定め,年紀を 10年としている。以上の武家法は,室町時代初期には,公家法に準用され,「三代占有に及ばざる不動産物権は,訴権を失う」という法理を生み,また債権については年紀 20年と定められている (東寺百合文書,貞和2年 12月 27日東寺政所定書案) 。江戸時代以降,不動産物権についての年紀法は,その姿を没するが,債権の訴権についての年序法は受継がれ,一般に債権については 20年,売掛金については 10年の年紀が定められている。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
普及版 字通
「年紀」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報