広翅類(読み)こうしるい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「広翅類」の意味・わかりやすい解説

広翅類
こうしるい

昆虫綱脈翅目の昆虫の一群で1亜目Megalopteraの名称。近年は独立した1目とされる場合が多い。センブリ類とヘビトンボ類の2科だけからなり、世界に二百数十種、日本には10種余りを産する。原始的な特徴を多くもつ小群で、ほかの脈翅類とは、体が太めで胸部が大きく幅広、静止するとき、はねを一部重ねて背面に置き、後ろばねの内縁部が別に畳まれるように区分されることで異なっている。幼虫は水生でかむ口をもち、ほかの虫を捕食し、7~8対の気管鰓(さい)で呼吸する。蛹(さなぎ)の時期は短く、水辺土中石下などに室をつくるが、大あごや肢(あし)は動かせるので歩いたり、身を守ることができる。ヘビトンボの幼虫は流水にすみ、「孫太郎虫」とよばれ薬用(子供の疳(かん)の薬)にされ、また釣り餌(え)にもされる。センブリの幼虫は池沼にすむ。

[中根猛彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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