日本大百科全書(ニッポニカ) 「廿日市(市)」の意味・わかりやすい解説
廿日市(市)
はつかいち
広島県西部、瀬戸内海に面した市。1889年(明治22)町制施行。1956年(昭和31)平良(へら)、原、宮内(みやうち)、地御前(じごぜん)の4村と合併、1988年市制施行。2003年(平成15)佐伯町(さいきちょう)、吉和村(よしわむら)を編入。2005年大野(おおの)、宮島(みやじま)の2町を編入。JR山陽本線、広島電鉄、国道2号、186号、433号、488号が通じる。さらに、山陽自動車道と広島岩国自動車道路が廿日市ジャンクションで接続し、北部を中国自動車道が通る。古くから山陽道の宿駅、市場町として栄え、江戸時代は津和野藩の船手屋敷があり、津和野街道の起点であった。木工業が盛んで、大規模な木材団地、木工団地が造成された。木工玩具(がんぐ)「けん玉」の発祥の地で、木材利用センターもある。広島湾の厳島(いつくしま)(宮島)は瀬戸内海国立公園に含まれ、厳島神社と周辺は世界遺産(文化遺産)に登録されている。平良の速谷(はやたに)神社は交通安全の神として知られ、背後の極楽寺山(693メートル)には原始林があり、キャンプ場も設置されている。極楽寺南西麓(ろく)の原地区には説教源氏節(県指定無形民俗文化財)が伝わる。佐伯地区には小瀬(おぜ)川沿いに温泉があり、また吉和地区には西中国山地国定公園の冠山(かんむりやま)高原があり、ともに豊かな自然がみられる。面積489.49平方キロメートル、人口11万4173(2020)。
[北川建次]
『『廿日市町史』(1975・廿日市町)』